石破茂です。
統一地方選挙の道府県知事、政令指定都市の市長、道府県議会議員等の選挙もあと二日を残すのみとなりました。この間、鳥取県内の他、六府県のお手伝いに廻り、最終日は鳥取県内の接戦中の重点区を中心に廻る予定です。
もう39年も前のことになりますが、衆議院初出馬に向けて準備中の1984年(昭和59年)の晩秋、初めての集会を当時自民党幹事長代理であった渡辺美智雄先生を弁士にお迎えして開催する計画を立て、県内各地にポスターも貼ったのですが、どうしても人を集める目途が立たず、やむなく中止にしたことがありました。山陰の寒い霙模様の中、半分泣きそうになりながら自分でポスターを剝がして回ったのを一生忘れることはありません。
応援依頼があった時は出来るだけお断りせず、十分な下調べをして伺うように心掛けてはいるつもりですが、それはこの時の体験があるからだと思います。今回も様々な候補者がおられますが、お客様の多寡を問わず、少なくとも足を運んでくださったり、足を止めて聞いてくださった方の心に残るような話を何か一つだけでも出来たらよいなと思っております。
国会では防衛費増額の財源を巡る議論が始まりましたが、今一つ嚙み合っておらず、国民の理解が深まらないままになることを危惧します。
衆議院本会議では、維新の議員が本質を突いた質問をしていたのですが、これに対する政府の答弁は「専守防衛は見直さない」「核共有の議論を行うつもりはない」「米軍との統合的な指揮命令体系の構築は考えていない」という従来通りのもので、それがどのような軍事合理性を持つのか、どのように日本の独立と平和に寄与するのかについての説明が全くないのはとても残念なことでした。私も予算委員会で同旨の質問をしたのですが、このような根本的な問いに正面から答えてこそ、国民の理解に資するのではないかと思っております。
かつて鳥取県の片山善博知事が「県議会は(議員も執行部も原稿を読むだけの)学芸会」と揶揄して物議を醸したことがありました。とかく官僚の作成する答弁は本質を逸らし、敢えてすれ違いの議論をして無難に終わらせ、結局何を言いたいのか判然としないものに仕上げがちで、近年はこれを大臣が読むだけの答弁が多くなったように感じていますが、この性を乗り越えるだけの見識と気概が政治家には求められるのであり、己に対する自戒を込めてそれを痛感しております。