私はいわゆる自動車大手の巻き返しがあるとみています。テスラが今回アメリカで再度値下げしましたが、市場シェア確保に動いているのでしょう。ではここで一つの歴史を思い出してもらいましょう。T型フォードとGMの覇権争いです。時は1920年代です。フォードは大量生産で黒いT型フォードを安く売ることに専念していました。当初は市場を席巻しました。が、GMの素晴らしい巻き返しにあっという間に逆転を許したのです。理由はGMは色をそろえ、GMACによる自動車ローンを初めて提供するなどあらゆるマーケティングを展開したのです。つまり、人々は移り気だし、世の中のスタンダードは変わるのです。トヨタは出遅れたのですが、トレンドを見ているはずなので巻き返せると期待しています。

佐藤恒治社長と豊田章男会長 トヨタHPより
マクロン大統領はウクライナ問題の初期の頃からこの戦いを終わらせることに注力していました。一時は「弱腰」とも指摘され、蚊帳の外に置かれましたが、彼の現在の姿勢は日本の戦前の外交官、幣原喜重郎に通じるところがあります。では中国はといえば、私の見る限りではこちらも停戦派だとみています。ロシアでプーチン大統領に停戦案を示すもその後が見えてきません。一部の情報によると習近平氏はロシア訪問の後ウクライナにすぐに行くオプションはあったようですが、岸田首相がいたのでそのプランが無くなったとされます。真偽のほどは分かりません。
ただ、その後、ゼレンスキー大統領が習氏との会談を受け入れていると表明しているので中国が仲介に入る公算はより高まったとみています。一方、ゼレンスキー氏が今週、ポーランド ワルシャワ入りしドゥダ大統領らと会談しました。ポーランドは第二次世界大戦のとき一時的に国が消滅した過去を踏まえ、ウクライナの存在はポーランドにとって緩衝帯という重要な意味があります。今回のウクライナ問題でも最も明白な姿勢を出しているのが同国であります。また、フィンランドがNATO加盟を果たしたことで体制の違う国が直接的に国境を接するという「嫌な」状況も生まれています。
では両国の落としどころはあるのでしょうか?ひょっとするとまとまる気がします。ゼレンスキー大統領も12項目の停戦案のうちいくつかは飲めないとしているものの箸にも棒にもかからない状態ではないのです。その為にはマクロン大統領はポーランドを説得すべきでしょう。そしてポーランドがウクライナの背中を押すのです。ポーランドのメリットは緩衝帯を維持できるのでNOとは言わないでしょう。ドイツのショルツ首相も全くの弱腰です。と言うより大戦のトラウマがあるので嫌なのでしょう。ここはアメリカが何を言おうがユーラシア大陸で話がまとまるならそれに越したことはありません。逆に岸田氏はG7でマクロン氏やショルツ氏の声をどう受け止め、調整するか、西側のポジションの方向性を決定づける極めて大きな重責を担うことになります。私が総理なら事前に習近平氏と電話会談を申し入れるでしょう。
後記 当地で建築中のグループホーム。予定工期残り6か月で出来高42%。工事責任者に「これ、絶対に工期内に終わらないだろう」と迫ると「役所の度重なる中間検査に部材待ち、スタッフ不足で遅延していたが今後は取り戻せる」と妙に強気。建築工事は出来高曲線というS字カーブがあり、数理的にほぼウソをつかない工程予測が可能です。私は年内に終われば御の字かなと。ただ、予算は収まっているのでほっとしています。RC造では当初予算の5割から8割増しがザラにある中、せめて予算通り、安全に品質を確保してくれれば十分です。これがカナダの仕事のやり方と期待度です。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年4月8日の記事より転載させていただきました。