仕事の引退後の生活は長い

そして考えておかないといけないのは、仕事の引退後生活は想像以上にとても長いということだ。

日本人の平均寿命は84.62歳(2020年)、健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳(2019年)なので、リタイア後の生活は大体10年ちょっとから20年くらいの計算になる。若い頃と違って、この10年、20年は体にがたが来ている上に、貯金も絶対に枯渇させることが許されないシビアなものだ。

そのため、ファイナンシャルリテラシーに優れた人物でなければ、老後は結構厳しい。日本人は死ぬ直前、人生史上最もお金持ちになる人が少なくない。長い引退生活で実入りがなければどうしても精神的に困窮、閉塞感がある。

仕事を続ける

引退後の長すぎる生活をどうするか?を早めに考えておくべきだ。社会とのつながりがなくなれば、人は一気に老け込む。筆者の知っている人で、仕事をやめて家でテレビの番人をスタートさせたら、ほんの数年で一気に痴呆行動が噴出したという人は何人も知っている。

生きがいとボケ防止のためには仕事を勧めたい。ある高齢女性は定年退職後、英語を勉強して近所の子供に英語を教えるようになったら、ものすごく人生が輝き始めたといっていた。お金も貰えているが、それ以上に子供や親が喜び、感謝の言葉をもらえるのが嬉しくて毎回喜んでもらおうと必死に準備をするといっていた。とても理想的だろう。

もちろん、人生は仕事だけではないから夢中になれる趣味があるならそれをやればいい。ただ、過去記事で何度もいってきたことだが、人間の最大の敵は「退屈」であり、受動的な娯楽はあっという間に飽きる。どれだけ好きな作品があっても、寿命を迎えるまで必死に追い続けられる熱情家は見たことがない。

感情を動かすには、やはり仕事を通じて社会とつながるか?もしくはリスクを取るのが一番いい。引退後に投資で資金を溶かすわけにはいかないので、そうなるとやはり仕事で誰かを喜ばせるのが一番健全で確実だろう。

定年後の人生はこれからもっと長くなる。日本人だけの課題ではない。世界全体で起きている現象だ。「明日死ぬかのように生きよ。永遠に生きるかのように学べ」というガンジーの言葉を今こそ思い出す時だろう。

 

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