採用者数は前月比2.6%減の616.3万人で、減少に転じた。2022年3月の利上げ開始以降、前月比では12カ月間で9回目のマイナスとなる。求人数が高水準の割りに、引き続き採用者数の伸びは極めて限定的だ。
チャート:求人数に対し、採用者数の伸びは伸び悩み
(作成:My Big Apple NY)
離職者数は582万人と、前月の590万人(修正値)を1.4%下回り3カ月連続で減少した。定年や自己都合による自発的離職者が離職者数が押し下げており、前月比3.8%増の402万人と2021年5月以来の低水準だった前月から増加に転じた。一方で、解雇者数は同12.5%減の150.4万人と、2020年12月以来の水準へ膨らんだ前月から減少した。ただし、自発的な離職者数が減少したといっても、自動車大手GMが今年から年間10億ドルのコスト削減を目指し、早期退職制度を通じ全世界で定額給従業員5,000人を削減する方針を発表したように、”自主退職制度”を通じた離職であれば解雇者ではなく自発的離職者数にカウントされる場合に留意したい。
チャート:離職者数は増加しつつ、解雇者数は大幅減
(作成:My Big Apple NY)
▽米新規失業保険申請件数、季節調整の手法変更を受け年初から大幅上方修正
4月1日週までの米新規失業保険申請件数は22.8万件と、市場予想の20万件を上回った。前週の24.6万件(19.8万件から上方修正)を下回ったが、6週連続で2019年平均の21.8万件を上回った。
3月25日週までの継続受給者数は182.3万人と、前週の181.7万人(168.9万人から上方修正)を超え、2021年12月以来の高水準だった。
チャート:米新規失業保険申請件数は減少も20万件超えを維持、継続受給者数は21年12月以来の高水準
(作成:My Big Apple NY)
――米3月ADP全国雇用者数の伸びが減速したほか、米3月チャレンジャー人員削減予定数が引き続き前年同月比4倍増と大幅増となり、採用者数は大幅減と弱い数字が並びました。また、米2月求人数が約2年ぶりに1,000万件を割り込み、米新規失業保険申請件数も季節調整の手法変更を受け過去分が上方修正されるなか、2019年平均を6週連続で上回る結果に。特に米新規失業保険申請件数については季節調整の改定を経て、2月4日週から9週連続で20万件超えとなったことが判明しています。2022年3月から9回、4.75%ポイントの利上げを行った影響が漸く顕在化し始めたようです。

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編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2023年4月6日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。