米3月ADP全国雇用者数は前月比14.5万人増と、市場予想の20.0万人増を下回りました。前月の26.1万人増(24.2万人増から上方修正)にも届かず、2021年2月以降の増加トレンドで、3番目に低い伸びに。米連邦公開市場委員会(FOMC)による9回の利上げに加え金融不安も重なり、雇用が減速しつつある可能性を示唆します。

チャート:米3月ADP全国雇用者数、26カ月連続で増加したなかで3番目に低い伸び

adp23mar (作成:My Big Apple NY)

以下、米3月チャレンジャー人員削減予定数と米3月求人件数などをおさらいしていきます。

▽米3月チャレンジャー人員削減予定数は前年比4倍増、採用者数は大幅減

米3月チャレンジャー人員削減予定数は前年同月比で約4倍増の8万9,703人だった。11ヵ月連続の増加となる。前月比で15.3%増と、2カ月連続で増加。ただし、2020年9月以来の10万人乗せだった1月の水準を下回った。

チャート:米3月人員削減予定数、11カ月連続で前年同月超え

jc23mar_jc (作成:My Big Apple NY)

チャート:過去4年間と比較すると、コロナ禍での2020年を除き最多が続く

jr23mar_j (作成:My Big Apple NY)

1~3月期の人員削減予定数は前年同期比でほぼ5倍増27万416人だった。2020年以来、3年ぶりの高水準となる。

チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社のアンドリュー・チャレンジャー・シニア・バイス・プレジデントは、結果を受け「Fedの利上げによりコスト負担が増大するなか、大規模なレイオフが続くだろう」と見込む。また、今回の人員削減を主導したのはテクノロジーだと指摘した上で「全体の約4割を担っていた」と説明した。

人員削減が多かったセクターのランキングは、単月で以下の通り。3月はシティグループが従業員の約1%の削減を計画中と報じられたほか、メタやアマゾン、マーベル・テクノロジーズなどテクノロジー系、食肉大手タイソン・フーズや電気自動車ルシード・グループ、4月に破産申請を行ったヴァージン・オービッドなど幅広い業種で人員削減計画が発表された。前月は1位がテクノロジー、2位がヘルスケア、3位がメディア、4位が金融、5位がサービスだった。

1位 テクノロジー 3万9,175人、前年同月は80人 2位 金融 1万3,400人、前年同月は4,755人 3位 サービス 6,711人、前年同月は2,392人 4位 ヘルスケア 6,468人、前年同月は4,995人 5位 小売 3,970人、前年同月は856人

年初来では、以下の通り。