■仕事が奪われる? うまく利用していくには、どうしたら?

まさに日進月歩で進化しているAIの世界。AIをめぐる私たちの環境は今後、どのようになっていくのだろうか?
「GPTは業者向けにAPIという開発パーツを開放しているので、GPTを組み込んだ画期的なアプリケーションやサービスが出てくると思います。いま、ChatGPTは、文字データですが、音声型のAIも出しています。それらを連結して出力された文章をWhisperという音声型のAIに投げ込むと、各国の言語にしたうえで、老若男女、早口やゆっくりなどいろんなパターンで、人間が話しているのと変わらないようになっていきます。つまり完全にロボットが完成しつつあり、人間が必要のない部分が出てくることになりかねません」
GPTを組み込んだライティングAIはすでにあるので、ライターがいらなくなるといわれ、筆者自身が戦々恐々とする毎日。ほかにも、AIによって変化していく仕事もありそうだ。
「ライティングの分野でいうと、2024年にはライターと同等レベルの文章を作成してくるといわれています。さらに2025年には人間を超えたオリジナルの発想やアイデアを出してくるかもしれません。2025年は、シンギュラリティといってAIが人間の知能をこえる分岐点といわれています。ライターだけでなくプログラムも書いてくれるのでプログラマーもいりません。ほかにも薬剤師、弁護士、医師など、症状や判例をもとに判断が必要な職業はいらなくなるかもしれません。ほとんどのホワイトカラーはAIで代替えできるので、逆に肉体労働が必要とされる。つまり、AIに支配される世の中になる可能性もあります」
ただし、GPTの進化に対応した膨大なハードウエアの保存機能や通信量を支えるだけの高速インフラが整うなどの条件も必要になるので、シンギュラリティがいつになるかは予測不可能な部分もある。とはいえ、いつかは来るAIの台頭に対して、私達はどう対応していけばよいのだろう。
「AIにインプットするやり方や内容次第だと思います。ライターであれば、当たり前のことを当たり前に書くだけでは、既に価値を生み出さない状況になってきました。それ故に、『何をいうかより、誰がいうか』といった流れが非常に強くなってくる。一人一人が「何者かになる」ことが重要です。これをGoogleはE-E-A-Tと呼んでいますが、『経験、信頼性、権威性、専門性』を上げることで、文章の内容ではなく『この人が言うのであれば!』と言われるような立場になる他ありません。誰もが調べれば書けるようなことはAIに任せつつ、自分にしかないものを生み出すことが生き残るカギです。これはどんな職業にもいえること。AIを活用できる部分はしながら、それ以外の視点や主張の部分を磨いていくのがよいと思います」
当たり前のことや大多数の人が考えるようなことをしていてもしょうがない。出来杉君ともいえるAIに対抗するには、ある意味でトリッキーな存在になる必要がありそうだ。
取材・文:岡本のぞみ(verb)
提供元・男の隠れ家デジタル
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