格安スマホとは、その言葉通り「低価格のスマホ」を指す場合と、大手キャリアよりも月額料金が安い通信サービス(MVNO・MNO)を指す場合の2通り。
この記事では格安スマホの購入前、格安SIM契約前に知っておきたいポイントを解説します。
格安スマホとは?格安SIMを提供しているキャリアの例
格安SIMを提供しているキャリアの例は、ahamoや楽天モバイルなど。
ちなみに格安SIMにはMVNOとMNOの2通りがあります。ahamoと楽天モバイルはともに「MNO」。ですが「格安SIMって、MVNOのことではないの?」と思う方もいるでしょう。MNOとMVNOの違いは以下の通り。
なお、以下の表はahamoと楽天モバイルの料金を比較したものになります。両者はともに認知度が高く、総じて「格安SIM」の代表格と言えるでしょう。
楽天モバイル | ahamo | |
料金プラン(税込) | Rakuten UN-LIMIT VII 980円~3,278円 |
2,970円 |
通話 | アプリの利用で国内通話無料 15分かけ放題のオプションあり |
1回5分の通話が無料 かけ放題オプションあり |
通信速度 | 高速データ | 高速データ |
対応エリア | 全国 | 全国 |
海外エリア | 69カ国対応 | 82カ国対応 |
無料オプション | 楽メール 留守番電話 着信転送 割込通話/通話保留 着信SMS テザリング 災害用伝言板など |
フィルタリングサービス エリアメール 迷惑電話ストップサービス テザリングなど |
格安スマホはやめとけと言われる理由
大手キャリアと比較して、しばしば格安スマホ(格安SIM)は批判の対象にもなります。「格安スマホはやめとけ」と言われる理由には以下のような項目が挙げられます。
・通信速度が不安定でつながりにくいこともある
・キャリアメールやLINEのID検索が使えない場合もある
・端末の選択肢が限られることもある
・支払い方法などに制限があるケースも
キャリアメールやLINEのID検索が使えない場合も
格安スマホでは大手キャリアのメールアドレス(@docomo.ne.jpなど)が使えません。意外かもしれませんが、たとえばahamoでもドコモのキャリアメールは別途手続きしないと使用できません。
いままで使っていたキャリアの解約時、もしくは解約から30日以内に「メール持ち運びサービス」を契約し、月額料金を払って使う必要があります。
キャリア別のサービス内容と月額料金は以下の通り。
キャリア | 月額料金(税込) | 条件 |
ドコモ | 330円 | 回線契約にもとづいて発行されたdアカウントのIDを持っていること |
ソフトバンク | 330円 | 持ち運びたいメールサービスを利用されていた回線契約のSoftBank IDを持っていること |
au | 330円 | au回線契約にもとづいて発行されたauIDを持っていること |
キャリアメールを使うためだけに330円を支払う必要があるのは大きなデメリット。さらにメールアドレスの変更はできません。
また格安SIMでは、LINEの年齢確認ができないため、ID検索機能が利用できないことがほとんど。新しくユーザーを友だちにしたい場合は別の方法を使う必要があります。
端末の選択肢が限られることも
格安SIMでも端末の販売をしているキャリアは多くあります。しかし、種類が限られている上、在庫状況に限りがある場合も。
また、LINEMOなど、そもそも端末販売をしていないキャリアもあります。
支払い方法などに制限があるケースも
格安SIMでは支払い方法や初期設定に制限があることもあります。
キャリアの場合、請求書払いやモバイルバンキング払いなどが可能。一方、格安SIMの場合、支払い方法はクレジットカードか口座振替のみの場合がほとんど。また、初期設定は自分で行わなければならないことも。店頭で申し込みやサポートを受けられるキャリアはごく少数です。
MVNOは通信速度が不安定でつながりにくいことも
MVNOは大手キャリアから借りた回線帯域を提供する仕組み。なおかつ借りた回線帯域は、多数のユーザーでシェアされます。そのため、エリアや時間帯によっては通信速度が不安定になりやすいのは事実。とくに混雑した場所や夜の時間は繋がりにくくなることがあります。
災害時に格安スマホが使えない可能性がある理由
災害時に格安スマホが使えない可能性があります。その理由は以下の4つ。
・音声通話への規制
・災害用伝言板への登録不可
・緊急速報への非対応
・データSIMの場合は緊急通報も不可
音声通話への規制
災害時には、大手キャリアは音声通話を制限することがあります。これは、緊急電話や救助活動などの優先的な通信を確保するためです。MVNOは大手キャリアの回線を借りているため、当然この規制の影響を受けます。
災害用伝言板への登録不可
災害用伝言板とは、震度6以上の地震や大規模な災害が発生した際に、大手キャリア契約者が自分の安否情報やメッセージを登録できるサービスです。登録された情報はインターネットや電話で誰でも閲覧可能です。
そして格安SIMを使っている場合、災害用伝言版の「閲覧」こそできるものの、登録は不可。いざという時に「災害用伝言板」が使えないのは大きなデメリットでしょう。
よって緊急時には代替手段となる災害用伝言板を使うことが必要です。たとえばNTTが提供している災害用伝言板はネットを通じて誰でも利用できます。
また、音声通話SIMを使っていれば災害用伝言ダイヤルを利用することは可能です。
緊急速報への非対応(一部の格安スマホ)
緊急速報とは、地震や津波などの災害発生時に国から送られる情報。この情報は一般的なメールではなくプッシュ通知という形でスマホに届きます。
格安SIMでも受信は可能ですが、「格安スマホ」の場合、緊急速報やJアラートなどが受信できない機種もあるので注意しましょう。
データSIMの場合は緊急通報も不可
データSIM、つまり音声通話ができないSIMを利用している場合は、緊急通報(110、119。118)が利用できません。
なお、LINEなどの無料通話アプリやIP電話からも緊急通報は不可となっています。
格安SIMがおすすめの人・おすすめしない人
格安SIMがおすすめな人は、以下のような特徴を持つ人です。
・月額料金を節約したい人
・自分に合ったプランや端末を自由に選びたい人
・高速通信量が少なくても問題ない人
一方で前述の通り、格安SIMにはさまざまなデメリットもあります。上記のポイントのうち、1つでも気になる項目がある方は大手キャリアの継続利用を検討するのも良いでしょう。
格安SIMから大手キャリアに戻すべき人とは?
格安SIMから大手キャリアに戻すべき人とは、以下のような特徴を持つ人です。
・高速通信量が多く必要な人
・災害時や海外での通信に安心感が欲しい人
・キャッシュバックやポイント還元などの特典を利用したい人
・店頭でのサポートや修理サービスを受けたい人