映画などで見かける海での遭難シーン。
その中で、のどが渇いた人物が海水を飲もうとするのを必死に止めるシーンがあったりしませんか?

この時、海水を飲むと危険だ!と止めていますが、一体何が危険なのでしょうか?

たしかに塩辛い海水はあまり飲みたいとは思いませんが、のどが渇いているのですから、海水で水分を摂取するのも仕方ないと思ってしまいます。 しかし、"飲んではダメ!"と語られているのにはしっかりとした理由があったのです。

なぜ海水を飲むと危険なのでしょうか。その理由について解説します。

海水の成分

海水を飲むとどうなるの?実は人体に悪影響を与える「海水」を紹介
(画像=『FUNDO』より 引用)

地球上の水分の97%を占めるといわれる海水。
その成分は約96.6%の水分と3.4%ほどの塩分とで構成されています。

塩分と一口にいっても様々な種類が海水には含まれており、約77.9%と大部分を占める「塩化ナトリウム」。
次いで「塩化マグネシウム」が約9.6%。「硫酸マグネシウム」は約6.1%で「硫酸カルシウム」約4.0%、そして「塩化カリウム」の約2.1%となっています。

他にも海水にはナトリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンといったイオンが含まれています。

海水を飲んだ時の人体への影響

海水を飲むとどうなるの?実は人体に悪影響を与える「海水」を紹介
(画像=『FUNDO』より 引用)

海水の塩分濃度が約3.4%なのに対し、人体の塩分濃度は約0.9%に保たれています。
この塩分濃度の違いにより、海水を飲むと人体は危険な状況になるというのですが、果たしてどのようなことが起こるのでしょうか?

脱水症状

2.5%の差というと、一見誤差と感じるような数字ですが、見方を変えると3倍以上という非常に大きな濃度の違いが海水と人体にはあるのがわかります。 塩分濃度が濃い海水を人間が飲んだ場合、人体では塩分を発汗や尿により排出することで体内の塩分濃度を調整しようとします。

しかし、非常に塩分を多く含んだ海水の塩分を排出するのは容易ではありません。
誤って大量に飲んでしまった場合、飲んだ分の塩分を体内の水分とともに排出する必要がありますので、場合によっては大量に体外に水分を排出することになります。

例えば1Lの海水を飲んでしまった場合、過剰な塩分を排出するために汗や尿で約1.35Lの体内の水分を排出する必要があるといわれています。 このように、海水を飲むと体内の塩分濃度を調整するために大量の水分が必要となるため、脱水症状を引き起こす危険性があるとされています。

腎臓への障害

人体に入った塩分を排出することで体内の塩分濃度を調整する役目を果たしているのは腎臓です。
しかし、海水のように非常に大量の塩分が体内に取り込まれた場合、腎臓のキャパシティを越えてしまい腎臓自体がダメージを受けてしまいます。

結果として腎臓は弱まり、排泄能力が下がるだけでなく、場合によっては腎炎といった腎臓に関わる病気になることもあるそうです。

海水を飲むと最悪死に至る

海水を飲んだ後、飲料水などで適正な水分補給をできない場合、脱水症状が悪化するだけでなく体内の水分が減ったことで血液の循環が滞り、脳に障害が発生することもあります。
そうして神経系で異常が発生する他、痙攣の症状なども出て死に至ることもあるそうです。