クレジットカードビジネスは与信ビジネスであり、第三者がその人の信用力を推しはかる上で最もわかりやすいものであり、アメリカらしい発想です。またカード払いが普及したことで北米では小切手決済が急減しています。最近では銀行口座の種類によっては小切手入金取り扱い料を取られます。
では消費者はなぜ、デビットカードではなく、クレカを使うかと言えば発行会社が提供するポイントに拠ることが大きいでしょう。ですが、もし、この先、マーチャントがクレカ使用料を取りますよ、と言われたらどうしますか?ポイント付加は概ね使用額の1%です。それに対してクレカ使用料は1.5-2.4%です。私は個人的にもクレカ使用料がかかる支払い先はデビットカードなど他の支払い手段を使っています。
私が見るにクレジットカードビジネスの本質が揺らぐ可能性が出てきたように見えるのです。
日経ビジネスにVISAのアルフレッド ケリー会長のインタビュー記事が出ており、強気一辺倒の内容でした。その中で日本では現金決済がまだ多く、成長の可能性はあるとしながらもなぜそうなのか、わからないとコメントしています。私が考える理由は2つです。1つは安売りと価格競争でマーチャントの利益率は薄利そのものなのです。更に3.5-5.0%もかかるクレカ費用は払えないのです。もう1つは課税を逃れる現金ビジネスが未だに横行しているからでしょう。日本企業で黒字で法人税を払っているのは3割しかないという馬鹿な話はそもそもがおかしいのです。お金がザルのように抜けているということです。
私はデジタル通貨が出来た時点でクレジットカードは付帯的な意味合いしかなくなるとみています。それはカード会社もフィービジネスですが、中央銀行が発行するデジタル通貨にはフィーがないはずですのでコストがかかるクレカやQR決済では太刀打ちできなくなる、のです。
世の中のデファクトスタンダードはある日突然崩れます。何十年、盤石のビジネスをしていても崩壊することは今後、様々なシーンで起きると考えています。カードビジネスもその時代の変化にどう対応できるのか、興味深いところではあります。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年4月4日の記事より転載させていただきました。