4の軍事力の話は。日本に住む人に等しく関わる問題である。いざという時は戦うか他国に逃れるしかなく、不自由な生活を余儀なくされるから、やはり身体的にも精神的にも強い若い世代ほど対応しやすいのではないかと想像する。
以上のように考えると、少子化対策は結局は高齢者世代のためなのだと思う。もちろん直接的には親世代が受益するものの、親世代は子供が居なくても困らない。DINKsが流行っているのはその証左である。
だとすれば、高齢者世代にも応分の負担を求めるべきである。医療費負担を現役世代と同じ3割にするくらいは必須ではないか。当然反発するだろうが、それを説得するのが政治家の役目である。少子化対策の目標と効果を正直に話し、これまでいかに厚遇されてきたかを現役世代の窮状とあわせて説明し、負担を受け入れさせるのが仕事だろう。それをサボっている政治家諸氏には、まず歳費の半分をカットする気概を見せていただきたい。
ところで、高齢者世代に配られた社会保険料はどこに行くのだろうか。想像するに、大半が病院に流れているのではないか。たまに平日に病院に行くと、元気そうな高齢者が待合室を占拠し、医師や看護師と暢気に雑談している(お陰で散々待たされる)。医療費1割負担の特権を大いに活用していて微笑ましい。ただ、もし社会保険料が回り回って病院の貴重な財源になっているのだとすると、今後も現役世代に厳しい状況は続きそうだ。コロナ禍で圧倒的な政治力を示した医師会が付いている。
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高梨 雄介 上智大学法学部卒業後、市役所入庁。法務関係部門を歴任して数々の例規の起草、審査、紛争解決等に携わる。現在は公共団体職員として勤務の傍ら、放送大学で心理学を専攻中。