──では、それほど害はないんですか?

ジェームズ:いえ、そんなことはありません。基本的に大使の仕事の内容は滞在国の政策に影響を与えることですから。言い換えれば、大使のミッションは「影響工作」になります。前述のエマニュエル大使の鉄道やLGBTQ関連のパフォーマンスもすべて、「日本をリベラル全体主義に作り替える」というバイデン政権の肝入り対日政策の実践でしかありません。

──だから好感度を上げる必要があると。

ジェームズ:ですから、「ハンキュー・ヴェリー・マッチ!」に騙された日本人はインテリジェンス・リテラシーが低いと言わざるを得ません。「リベラル全体主義」でも結局は全体主義なので、究極的には「自由度ゼロ」の軍隊と親和性が高いのです。日本をそういう国に作り変えようとしているのがエマニュエル大使です。在日米軍司令官もエマニュエル大使の極左活動に一切苦言を呈していませんから、これがアメリカの意思なのです。

──外交官なんですから、影響工作をやって当然だと。要はエージェントみたいな存在なわけでしょ?

ジェームズ:その通りです。世界史を紐解くと、外交官という職業は諜報活動が主な任務ですから、大使館内にいるCIAほかの要員も大使の配下にあります。ただ、大使の場合、秘密工作(covert action)をするというよりは、前述の通り国の代表者としてホスト国の政策に影響力を行使するというほうが正解でしょう。これは諜報用語では、「公然活動(overt action)」となります。これはアメリカの場合CIAの公然活動という位置付けではなく、大使なので国務省の外交活動になります。大きな違いは、同じ公然活動でも正式な外交官が行う外交活動の方が条約締結などの特権を付帯されるので、対象国に対する影響工作もよりインパクトがあります。わかりやすいところで言うと、河野太郎氏が防衛大臣だった時代、彼が頻繁に会っていたのは中国の孔鉉佑大使とロシアのガルージン大使でした。

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(画像=ミハイル・ガルージン(画像は「Getty Images」より)、『TOCANA』より引用)