貧しいから金持ちになりたい、という強い願望をもった人の立身出世の美談はよく耳にします。ただ、そういう方の話の多くは途中から忙しくて金勘定などしておらず、ビジネスが楽しくてガンガン仕事をしてふと気がついたら財を成していたというケースです。ところが自分の努力ではない形でお金が入るとその人の立身出世の意欲が急減するのもまた事実なのです。つまり、金持ちのパートナーに依存した時点で物理的なお金はそこにあっても精神的なハングリーさが消え去り、逆流を登るサーモンのようにはなれなくなるのです。お金はその点で魔物なのです。
女性社員は何故寿退社をするのか、という分析に男女の給与差があった時代に於いて「この人の給与なら私は安心できる」という皮算用が働くから、というのを読んだことがあります。今なら相当異論が出るかもしれませんが、お金は確かに人の気持ちを変えてしまうチカラはあるのでしょう。
私は東京のあるフランス料理店にたまに伺わせて頂いています。ミシュラン星でかなりハイプロファイルですが、社長を知っていてよくして頂いていることもありますが、それ以上に自分への褒美なのです。お金なんてメリハリをつけて使わないとありがたみがわからないと思うのです。しかし、私の周りにはビジネスで適度に成功してそれで放蕩して事業がずっと水平飛行の方もまた、あまりにも多いのです。だいぶ前ですが、楽天の三木谷さんがスペインでサッカーの試合を見るだけのためにとんぼ返りの欧州旅行に行ったという何かの記事を目にし、「わかる!無い時間を割いてどうしてもやりたいいことだけにお金を使う優越感」です。
多くの金持ちはいくら稼いだとかいくら持っているという銭勘定はしないと思います。それより仕事や趣味やなにかに打ち込むことに忙しくてお金を使うことなど忘れているのです。一方、中途半端にお金を持っている人が湯水のように使ってしまう方も散見します。
「お金の使い方ぐらい人の自由だろう、そんな事介入する意味なし!」と言われればおっしゃる通り。金銭感覚も人それぞれ。だけど物欲消費欲なんて知れているのです。ハイブランドのカバン、10個も持っていてれば満足でしょう。そんな金額、知れています。それよりもバックの価値に劣らない知的センスを身に着ける方が重要だと気が付いてほしいなぁ、とおじさんは思うのです。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年4月2日の記事より転載させていただきました。