公平原則の撤廃と分断
ここまでは、放送法第4条に関する本質的議論がいっこうに進まない斥力の存在を述べた。最後に、「されど残る論点」についてごく簡単に述べたい。
池田信夫氏がいうとおり、プラチナバンドを開放して200チャンネル放送とし、あわせて放送法第4条を撤廃しようとしたとき、問題となるポイントはあるだろうか?
「放送法第4条の撤廃の問題」として説得力のあるのは、国内世論の「分断」あるいは「断絶」の深まりとなる可能性についてだ。
その前例として度々引用されるのが、アメリカで87年に「表現の自由」を担保するために撤廃された「公平原則」と、その後国内で深まった政治的分断だ。
「公平原則」廃止の米、偏向報道が増加
上記はごく短く本件をまとめている記事なので、ぜひご一読いただきたい。
本件は、少なくともアメリカというサンプルがある。そうであるがゆえに
公平原則の撤廃と国内世論の分断は、本当に相関関係があるのか 仮に相関が認められた場合、その相関関係は、日本でも同様に働く力学なのか 仮に相関が認められた場合、公平原則の撤廃をした場合でも分断を回避できる現代的な方法はないのか 公平原則の撤廃をしないとした場合、将来確実に訪れる「多チャンネル・多メディア化時代」に即した公平原則の在り方とはどのようなものか
などを、アメリカの事例をもとに冷静に研究・議論することができるはずだ。
少なくとも以上のような議論を深めることは、小西議員の茶番を眺めているよりはるかに有意義であることは確かだろう。