まとめ

自動車のEV化は、動力源である蓄電池の大量生産のために南米(チリ、アルゼンチン)やオーストラリアなどリチウム産出国の生活環境を破壊しつつあるという現状から見ると、SDGsの思想に合致せず、SDGsに反する政策になりかねない。

自動車というものは、基本的に、エネルギー大量消費文明の一翼であって、EVに変えたからと言って大量消費に伴う影響を免れられるものではなく、石油・石炭・LNGなどの化石燃料と同様の環境負荷問題を抱えている。

従って、少なくともEV化の本来の目的であるCO2排出削減だけは効果のある形で実現して、メリット・デメリット評価を行い、メリットが大きいと判断できる形に持っていかなければならない。

メリットを大きくするためには、EV化して走行時のCO2排出を無くすと同時に、その充電電源を原子力にして発電時のCO2排出も無くす、という両面作戦の形にするのがキーポイントである。これがすなわち「車のEV化は、将来の電源を原子力中心にするという宣言だ」ということなのである。

現政権が打ち出しているGX実行計画・電気事業法改正案により原子力の推進を確実なものにすることは、EV化における充電電源確保の根幹であり、EV化を成功に導く有効な手段である。そのためにも、GX実行計画、電気事業法改正案の政策をぜひとも着実に実現して、EV化の本来の狙いを成功に持ち込んでもらいたいものだ。