日本は先進国の中でもジェンダーギャップ指数が最下位に近い国の1つであり、そのため女性の幸せについて再び問題視されています。

近年は、多様化した生き方や働き方により、女性が自分自身で身につけられるスキルを求める声が多く、SNSを活用して新たなビジネスチャンスをつかむ女性たちが増えています。

そこで、今回は株式会社パイオニアwomanの中島侑子氏に「SNSを活用した、女性のセカンドキャリアの可能性」について解説していただきました。

女医からインフルエンサーに

私自身、SNSの発信によりセカンドキャリアを築いた1人ですが、元々は救命救急医をしていました。医師は一般的に権威性が高く尊敬される職業と思われがちですが、実は女性にとっては働きやすい環境ではないことが多いのです。

まず、一般的に医師になるには、大学で6年勉強し、研修医として2年間の実践を経て、最短26歳で医師となります。その後は、より専門性を高めるために各学術団体(学会)が定めたカリキュラムや病院での経験を元に、専門医として認定されます。

専門医になるまでは5年前後かかるので、女性にとっては30歳前後の結婚や出産の時期と重なり、思うように働けないケースもあります。

医師というのは医療関係者以外とはほとんど接点を持たず狭い世界で生きていることが多いので、女性医師は将来のキャリアに悩みながらも何らかのかたちで医師を続けるか、人によってはプライベートを犠牲にすることもあります。

例えば、出産後に子育てとの両立のために時短で働くことになった場合は、責任ある仕事を任されることが極端に減り、これまで第一線で活躍していた医師にとってはモチベーション低下に繋がる場合もあります。

また医局によっては男性社会で女性特有の悩みなどが理解されにくいこともあり、ストレスを感じるケースも多いです。こういった現状を前にして、キャリアのために、結婚を諦めたり出産時期を遅くしたりする女性医師を何人も目にしてきました。

入院中のベッドの上で起業を決意

そんな中、私は妊娠中に卵巣嚢腫が見つかりました。勤務していた病院にて緊急手術を受け、術後は安静のため1ヶ月間働かないようにと言われました。これまで救命救急医として追われるように働いていた私でしたが、ベッドの上で考える時間ができたことで、自分の人生や仕事について見つめ直す機会を得ました。

不安に押し潰されそうになり、布団をかぶって大号泣する日々を経て、徐々に吹っ切れて何をすべきか考えるようになりました。勤務医をしながらこの先にどんな未来が待っているのか、子どもを育てながらやりがいのある仕事は何か、理想とする暮らしや働き方はどんなものか、時間をかけて向き合いました。

その中で私が導き出した1つの答えは自分で仕事をする「起業」でした。

起業すると決めたものの、最初は何から始めればいいのか全く分からずにいました。そこで妊娠中から大きなお腹を抱えて3ヶ所の起業塾に通いました。起業してから始めは全く結果が出ず、ブログを書いていた経験を生かしたいと、ブログ添削をしたり、コンサルをしたり、自分ができることをとにかく必死に取り組みましたが、迷走状態でした。

そんな中、アンテナを貼って情報収集する中で「インスタグラムに注目している」という声を同時期に全く別方面から2件ほど聞き、直感的に始めてみることにしました。

そして、インスタグラムでの発信によって道が開けました。