脳オルガノイドに“意識”が芽生える日は近い!?

2021年、オーストラリアのブレット・ケイガン氏の研究チームは、実験室で培養したヒトとマウスの脳細胞にビデオゲーム「Pong」をプレイさせることに成功した。研究チームが「DishBrains」と呼んでいる生物学的人工知能は、従来のAIよりもはるかに速くゲームのルールを学習したのである。

一方で今回のグオ氏の研究チームは「脳オルガノイド」として知られる3次元構造を使用して「ブレイノウェア」を作成した。

研究チームはこの「ブレイノウェア」に「エノン写像(henon map)」と呼ばれる非線形方程式を解かせることに成功したのである。エノン写像はその無秩序な挙動のために予測が困難な問題である。

ブレイノウェアは長・短期記憶(LSTM)ユニットのない従来のAIよりも優れてはいるものの、今のところはLSTMを備えたAIよりも精度が劣っているということだ。しかしポイントはそこにあるのではなく、脳オルガノイドとAIを組み合わせることで実現できる圧倒的“省エネ”のコンピューティングにある。

ケイガン氏はグオ氏のブレイノウェアを「エキサイティングなアイデアです」と称賛している。

「脳オルガノイドは生物学的ニューロンを情報処理に使用するためのエキサイティングな次のステップであり、過去15カ月間、さまざまな協力者と一緒に研究してきたものであり、多くの興味深い活動パターンを示しています」(ブレット・ケイガン氏)

「人工知能と脳細胞を融合」画期的なブレークスルーが起こる! 意識が芽生えるのは時間の問題か
(画像=画像は「Pixabay」より、『TOCANA』より 引用)

現状では脳オルガノイドには血管がないため大きさが3ミリメートルを超えることはない。しかし今後、研究者たちはより大きな脳オルガノイドを作成してより優れた生物学的人工知能の開発を目指すことになるだろう。

とすれば脳オルガノイドに“意識”が芽生えてしまうのではないかという倫理的な問題に直面する日が急速に近づいてきているともいえる。広範な知見からの本格的な議論がすでに必要とされていると言えそうだ。

参考:「Daily Star」「New Scientist」ほか

文=仲田しんじ

提供元・TOCANA

【関連記事】
初心者が投資を始めるなら、何がおすすめ?
航空機から撮影された「UFO動画」が公開される! “フェニックスの光”に似た奇妙な4つの発光体
有名百貨店・デパートどこの株主優待がおすすめ?
ネッシーは巨大ウナギではない! 統計的調査結果から数学者が正体を予測
積立NISAで月1万円を投資した場合の利益はいくらになる?