第5条(納税義務者) 事業者は、国内において行つた課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れにつき、この法律により、消費税を納める義務がある。
ここに書かれているように、納税義務を負うのは事業者であって消費者ではない。したがって消費税という名前が正しくない。これは多段階の付加価値に課税する付加価値税なのだ。
日本でも中曽根内閣が1987年に5%の売上税という名前で閣議決定して国会に提出したが、小売業界の反対で廃案に追い込まれた。このため竹下内閣は「小売店は消費者の負担する税金を預かるだけだ」という建て前で「消費税」という名前に変えて税率を3%に下げ、その表記も本体価格と税額を別々に表示する「外税」にした。

共同通信
これが失敗だった。今度は「消費者が税を負担するので家計が苦しくなる」という反対運動が起こり、1989年の参議院選挙では社会党が第一党になった。
「益税」を防ぐためにインボイスは必要だしかし事業者が消費税を価格に転嫁する義務はない。値上げするのは業者の自由なので、10%の代わりに5%転嫁してもいいし、転嫁しなくてもいい。今年4月から、内税表示が義務化される。ただし利益(付加価値)には10%課税されるので、転嫁できなかった差額は業者の負担になる。
それを根拠にして今年10月から義務づけられるインボイス(請求書)に反対する業者がいるが、これは逆である。売り上げ1000万円以下の事業者が消費税を納税しないのは合法だが、こういう免税業者が(負担していない)消費税を価格に転嫁する「益税」は詐欺の一種である(違法ではないが)。
益税を避けるために、インボイスは必要だ。これが義務化されると「免税業者が取引できなくなる」と漫画家などが騒ぎ、一部の実施が延期されたが、この解決法は簡単である。漫画家も原稿料の10%を納税し、その税額をインボイスで出版社に請求すればいいのだ。免税は権利であって義務ではない。
消費税は多段階の付加価値税なので、すべての段階で納税額を確認する必要があるが、今はインボイスが義務づけられていないため、粗利に1割課税する丼勘定の「第2法人税」になっている。売り上げを納入先の帳簿と照合して不正を防ぐために、インボイスは必要だ。それに反対するのは、払うべき税金をポケットに入れている業者である。