闇金といえば「高金利」というイメージがありますが、なかでも有名なのが「トイチ」。人気漫画『闇金ウシジマくん』『ミナミの帝王』などでもしばしば登場する「トイチ」ですが、設定金利としての違法性はないのでしょうか。

トイチとは?闇金のトイチ金利、実際の返済額の計算方法と返還請求のやり方
利息制限法における貸金業者の上限金利は、元金10万円未満の場合で年率20%です。さらに、元金10万円以上100万円未満の場合は18%、元金100万円以上の場合は15%。つまり、銀行や消費者金融からお金を借りるときの上限金利は最大でも年率20%となります(画像=『オトナライフ』より 引用)

「トイチ」は、その名の通り「10日で1割の金利」を意味する業界用語です。年率にすれば20%を大きく超えていることは一目瞭然。

今回はトイチについて、実際の返済金額の計算方法や設定金利としての違法性、トイチで借りたお金を返済する必要があるのかなどを解説します。

トイチとは「10日で1割」の高金利な違法な金融業者のこと

トイチは「10日で1割」という高金利な違法な金融業者を指します。なお、トイチでも十分な高金利ですが、それ以上の金利を指す言葉もあります。

トイチとは?闇金のトイチ金利、実際の返済額の計算方法と返還請求のやり方
トイチで10万円を借りると、10日で1万円の利子が付きます。10日で1割ということは1日1%の利子なので、1年間で365%です(単利の場合)。同じく、「トニ」「トサン」「トヨン」「トゴ」というフレーズは、それぞれ「10日で2割の利子」「10日で3割の利子」「10日で4割の利子」「10日で5割の利子」を意味します。それぞれの年率は上記の通り(単利・複利については後述)(画像=『オトナライフ』より 引用)

なお、上記の計算は「1年間借りた場合」を想定しています。実際には「トイチ」であれば10日ごとに返済を求められることが多いです。

トイチで借りたお金の返済額はどう計算する?

トイチの返済額の計算方法は、「単利計算」か「複利計算」かで異なります。

たとえばトイチで30万円を20日間借りた場合、単利と複利でのそれぞれの返済額は以下の通りです。

単利の場合…36万円(30万円+30万円×0.1+30万円×0.1)
複利の場合…36.3万円(30万円×1.1×1.1)

単利計算と複利計算の違い
単利計算と複利計算の違いは、利息が元本に加算されるかどうか。単利計算では、借金の元本は変わらず、一定の利息が発生します。複利計算では、借金の元本に利息が加算されて、次の期間の元本となります。そのため、複利計算では単利計算よりも返済額が増える可能性があります。

トイチとは?闇金のトイチ金利、実際の返済額の計算方法と返還請求のやり方
複利の場合、前の期間で付いた利子を含めて次の期間の利子が計算されます。100万円を借りた場合の年間利息が1割であれば、1年目に利息10万円。2年目には、増えた分の利息10万円を元金に足した110万円に対して1割の利息が乗るため、11万円となります。3年目には、「元金100万円+1年目の利息10万円+2年目の利息11万円=121万円」に対して1割の利息、つまり12.1万円。このように徐々に利息の増えるペースが上がっていくのが「複利計算」です(画像=『オトナライフ』より 引用)

たとえばトイチで30万円を複利で借りた場合、以下のように利息が増えてしまいます。

10日後 元本300,000円+利息30,000円
20日後 元本300,000円+利息63,000円
30日後 元本300,000円+利息99,300円
40日後 元本300,000円+利息139,230円
50日後 元本300,000円+利息183,153円

トイチの単利計算式
30万円を単利のトイチで借りた場合、計算式は以下の通りとなります。

  • 10日後:元本300,000円+元本300,000×10%=330,000円
  • 20日後:330,000円+元本300,000×10%=360,000円

トイチの複利計算式
30万円を複利のトイチで借りた場合、計算式は以下の通りとなります。

  • 10日後:元本300,000円+元本300,000×10%=330,000円
  • 20日後:330,000円+(元本300,000円+利息30,000円)×10%=363,000円