天敵から身を守るために全身に棘が生えた動物はたくさんいますが、特にメディアの影響もあって近年はハリネズミやヤマアラシが人気ですよね!
そんな中、「ハリモグラ」と呼ばれる生きた化石も注目を集めています。

そこでここでは、この謎の多い単孔目、「ハリモグラ」について解説します。

ハリモグラとは?

ハリモグラは、哺乳類なのに卵を産む不思議な生き物!名前にモグラとあるけど・・モグラではなく意外な動物の仲間です!!
(画像=『FUNDO』より 引用)

ハリモグラは、カモノハシ目(単孔目)ハリモグラ科に分類される動物です。

モグラとは呼ばれていますが、実は珍獣カモノハシの仲間ということになります。
モグラと見た目は似ているのですが、モグラではないということですね!

生息域

ハリモグラの生息域は、オーストラリアなど南半球の島々となっています。
カモノハシがオーストラリアの固有種なのに対して、ハリモグラはオーストラリア以外にも分布しています。
例えば、インドネシアやパプアニューギニアなどの島々にも生息していることが確認されています。

生態

ハリモグラの体長は約30~45cmで、体重は約2~7kgほど。
アリクイなどのように突出した形状の吻(ふん)と呼ばれる口を持っており、その長さは約7.5cmほど。
確かにモグラのような顔をしています。

舌は1分間に約100回ほど出したり引っ込めたりすることができ、その長い舌を使ってアリなどを捕食しています。

アリを捕えるために進化したため口自体は0.5mmほどしか開かないとされていますので、とてもおちょぼ口な動物ともいえます。

やや弾力のある針に包まれており、身の危険を迫るとその針で攻撃する防衛手段を取ります。
その姿からハリネズミやヤマアラシの仲間だと勘違いされることもありますが、前述の通り分類上はカモノハシの同じ単孔目となります。

ちなみに、この単孔目に分類されている動物は、現在のところハリモグラとカモノハシしか存在が確認されていません。

哺乳類なのに卵を産む

ハリモグラは、哺乳類なのに卵を産む不思議な生き物!名前にモグラとあるけど・・モグラではなく意外な動物の仲間です!!
(画像=『FUNDO』より 引用)

ハリモグラは哺乳類なのに卵を産みます。
これは同じ単孔目であるカモノハシにもある珍しい特徴です。

ここからは、そんな彼らがなぜ卵を産むのかについて解説します。

単孔目(ハリモグラとカモノハシのみ)

卵を産む哺乳類は、げんざいのとおころ単孔目であるハリモグラとカモノハシでしか確認されていません。
もともと同じ生き物だったのが、ハリモグラは陸棲に、カモノハシは水棲にそれぞれが適応して分離したと考えられています。

単孔目は約2億5000万年前の太古の世界で誕生したと考えられており、現存する哺乳類の中で最も原始的な種類です。

これはオウムガイやシーラカンスなど、「生きた化石」と呼ばれる動物たちが生きていた時代でもあります。
哺乳類ながらも卵を産むのは、原始的な生物だからだとされています。

なぜ卵を産むのか?

卵を産む理由は、単純に原始的な生物だからだといえます。
哺乳類の祖先となるのは爬虫類です。

それもあって、かつてはどの哺乳類も卵を産んでいました。
それが進化の過程で卵を産まない哺乳類と卵を産む哺乳類に分岐したわけですが、卵を産む哺乳類がほとんど淘汰されしまいました。
それもあって、現在ではハリモグラとカモノハシしか残っていないのです。

哺乳類と爬虫類の分類は、実は卵で生まれるのかそのままの姿で生まれ育つのかは関係ありません。
母乳で育つ動物とどうかで分類がされています。
そのため、生まれた状態によって哺乳類かどうかが判別されているわけではないんです。

ハリモグラは乳首がなく、母乳は乳輪からしみだしてくる仕組みになっており、実際どのように授乳をしているのかははっきりとしていません。 ただし、授乳期間に多量の母乳を摂取していることは確認されているので、母乳を与えて子供を育てる哺乳類の一種だということは確認がなされています。