もう一つは電池です。リチウムイオン電池も極めて高性能になってきている中、自動車向け全個体電池があと2-3年で出てきそうな勢いです。一般的には日本が研究開発でリードしているのでは、とされますが、世界どこも血眼になって研究開発が進んでおり、誰が先に出そうがそれを上回る性能の全個体電池がその後も次々出てくることになるとみています。個人的には2030年代に入っても電池の改善は引き続き進むのだろうとみています。

ところで弊社が所有する2カ所の駐車場のうち、1つはEV施設の整備が完了しているのですが、もう1つの駐車場に関して建物をシェアする管理組合から一緒にEVチャージャーを入れないか、と誘われています。私がコメントしたのは「それは構わないが、充電方式と将来の需要が読めないのでごく少数の台数分で結構」と申し上げました。60台分あるのでEVステーションは1割の6台分程度でまずは様子を見たいと思っています。理由は全個体電池になれば一回の充電で1000キロも走れるようになるわけで充電なんてごくたまにしかする必要が無いし、何処にも充電設備があれば設備の需要は少ないと読んだわけです。

つまり1年前のEV設備バンザイに対して私は早くもやや冷めた見方に代わっているのです。それはEVは確実に普及するものの、技術の進歩とEV車の進化の具合、更には着脱式を含めた電池方式や車のシェア化の流れが読めないため、投資に躊躇しているといったほうがよいでしょう。

もう1つは再三言っているように全自動運転の車が出たらクルマを所有するモチベーションが下がると思うのです。駐車するスペースも無駄、メンテするのも無駄、自分で運転するわけでもない、ならば呼べば来るタクシーやウーバーのような全自動運転車で全然OKなわけです。特別に長距離走る場合に1台専用車を持っていてもよいですが、使途は限られると思います。

北米ではクルマ2台持ちが多いのですが、多くは普段使いが1台とおしゃれ着的なクルマが1台だと思います。その普段使いのクルマが全自動のEV車に代わるのではないかと思っています。もちろん、そんな社会は5年では厳しく、たぶん早くて2030年、もしかしたら35年ごろかもしれません。ですが、それぐらいディファクトスタンダードが思いっきり変わりつつある戦国時代にあるというのがポイントです。

正直、私はEVチャージャーという周辺産業が業務の一部にあるわけですが、イケイケどんどんにはならず、「もうちょっと待つともっと何か違うものが出る」という待ちの姿勢を強めています。技術が成長、成熟する過程における必ず起きるプロセスですね。実に悩ましいものです。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年3月27日の記事より転載させていただきました。