次に宅建の話です。私の親友は不動産屋の息子。その彼と晴れて同じ大学の同じ学部に進むや否や、「俺、家が不動産屋だから宅建を取ったほうがいいと思うんだ、だからお前、付き合えよ」と。不動産は大学1年生の私にとって全く無縁なので正直、宅建が何かも知りませんでした。が、彼がそういうならしょうがないと思い、宅建試験の手引書とにらめっこを数か月。受験をしたら二人で合格という訳です。しかし、私にとってその合格証が意味をなすとは思わず、引き出しの奥底に仕舞われたのでした。
が、紆余曲折して就職先がゼネコンとなった時、持っている資格の欄に「宅建を持っている」と書きながら改めて記憶を蘇らせたところから私の人生は変わるのです。あの時、親友の宅建の付き合い受験を断っていたら全く違う人生になっていたでしょう。
当時、3000人もいるゼネコンで宅建を持っている社員は全国でも10名足らずでした。組織変更で本社に不動産事業本部ができることになったけれど宅建所有者で人事的に動かしやすいのは私だけという幸運もあったのです。
私がこの話で言いたいのは2つの特徴が絡み合った時のチカラです。ご承知の通り、私はその後、バンクーバーで不動産開発事業をすることになります。これは行きたかった海外、そして不動産取引の免許所持者=不動産事業に適正アリという専門性の掛け算なのです。
以前、お話ししたと思いますが、誰にも負けない特技を1つ持っているだけではもうチヤホヤされないし、圧倒的な成功は難しくなりました。2つ目の誰にも負けない特技を持つとそれは次元が変わります。例えば大谷選手がなぜすごいかと言えば投打ができるからです。二刀流とは2つの特技なのです。
では3つ目はどうでしょうか?私はストイックだと思います。こういっては恥ずかしいのですが、イチローさんがシアトルにいた頃、彼のストイックぶりが有名でしたが、私と良い勝負だったと思います。ストイックとは何か、といえば生活環境の変化に対して自分のマインドが全くぶれないことです。どれだけの誘惑があろうとも自分に課された使命や目標だけを考えます。
「つまんない人生じゃない?」と思う人は追われる身になったことが無いからかもしれません。リーダーは常に人から見られ、ライバルに追いかけられます。なので今この一瞬も無駄にできないという気持ちこそがが不必要な誘惑をシャットアウトできる原動力となるのです。
私は運をつかむというのは簡単なことではないと思っています。前回、回転ずしの話をしましたが、人は手を伸ばす判断に対してあれやこれやいろいろな「やらない理由」を瞬時に考えます。「もっとうまいのが来る」「これ、値段高い皿だよね」「なんか、色味がよくない感じ」…です。私はつべこべ言わずまず、やること、これが大事だと思うのです。それで「やっぱり違った」と思えばそれは一つの経験値になります。
人生、ある程度の年齢になるとこの経験値がどれだけあるかによって厚みが変わってくると思います。応用が効くようになるのですね。経験値とは自分の判断力を高めるための重要な因子になるでしょう。そういう意味で私は何事も「第一歩」を踏み出すことから人生の向上は始まるのだと思っています。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年3月26日の記事より転載させていただきました。