株式会社ファンケル(以下、ファンケル)は、脳におけるストレス反応と腸内細菌との関連について測定、分析を行い、腸内細菌が心理社会的ストレスに対する脆弱性と関連している可能性があるという結果を公表しました。

健康な人での心理社会的ストレスに関わる脳活動と腸内細菌の関係性について、これまで研究報告はなく、今回の本研究が初めての報告となるとのことです。

また、今回の研究成果は、うつ病などの精神疾患を含むストレス関連疾患の早期発見や、腸内環境へのアプローチによる日常的なストレスの緩和、さらにはストレス関連疾患予防の貢献につながると考えられるといいます。

高ストレス反応とうつ病で腸内細菌が酷似

ファンケルでは、以前から、ストレスが心と身体の健康に及ぼす影響に関する研究を進めています。今回の研究では健康な人を対象に、心理社会的ストレスを感じている際の脳におけるストレス反応と腸内細菌の関連について、さまざまな測定と分析をしました。

その結果、脳のストレス反応と腸内細菌には関連があり、ストレス反応が高い人ほど、腸内細菌のバランスがうつ病患者のそれと部分的に類似していることが確認されたということです。

これらの結果から、うつ病などの精神疾患がなくとも腸内細菌が心理社会的ストレスに対する脆弱性と関連している可能性が示唆されました。

脳活動、心拍数などでストレスを測定

今回の研究は、次のような方法で行われました。

ストレスについては、脳活動、心拍数、主観的ストレスについて、25歳から45歳の健康な右利きの男性60人を対象とし、3種類のストレスに関する実験条件(*)を設定し、それらを行っている間の脳活動と心拍数を計測。脳活動については、oXy-Hb(酸化ヘモグロビン)の濃度を測定しました。

また、実験条件を設定した後に「どのくらいストレスを感じたか」といった主観的ストレスも測定しました。

*3種類の実験条件とは、以下の通り

①レスト条件:PCの画面を見ているだけ

②非ストレス条件:心理社会的ストレスをかけずに暗算を行う

③ストレス条件: 心理社会的ストレス(時間制限などを含む)をかけられた状態で暗算を行う

暗算の成績は、ストレス条件の方が非ストレス条件よりも有意に悪かったことが分かりました。また心拍数と主観的ストレスの測定結果については、共に、ストレス条件>非ストレス条件>レスト条件の順に、心拍数や主観的ストレスが有意に高かったことを確認しました。