はやきた駅~夕食

コーヒーで一息ついたら夕食だ。
地域の特産を食べる余裕はないし、こういうシチュエーションで食べる貧乏飯ほどうまい物はない。
駅を行き来する住民を他所に、駐車場の端っこでコッヘル(アウトドア用の鍋)とガソリンバーナーをセットする。
今日の晩御飯はスパゲッティ。パスタではなく意地でもスパゲッティ。
ソースはレトルトのハヤシライス。
年の始めにコロナに罹った際、支援物資が大量に自宅に届いた。
その時食べきれなかったものが自宅に余っていて、持って来た(家族5人分なので処理しきれなかった。北海道の偉い人にはこの場を借りてお礼を言いたい)
ちゃんとしたスパゲッティソースではないが、デミグラスソースなのでうまいはずだ。
薄暗くなってきたどことも分からない町の小さな駅。
その片隅の一人の旅人。
そんな光景に酔いながらもふと、寂しさがこみ上げる。
空を見上げた。グラデーションに浮かぶいくつかの星。
僕はこの先どうなるんだろう。
そんな青春真っ盛りみたいなことをアラフィフが考えたりする。
ねぇ、だいじょうぶだよ。おじさんでもこうやって不安になったり迷ったりするんだ。
一緒に迷って、一緒に考えて、歩いて行こ。
ここをキャンプ地とする!!

予想以上に美味しかったスパゲッティ(繰り返すがパスタではない!)を平らげ、片付けを終えると、辺りはすっかり暗くなっていた。
「いまから公園さがすのメンドイなぁ」
初日にして寝床探しに失敗した僕の頭に、北海道の伝説的ローカル番組「水曜どうでしょう」の名言が浮かぶ
「ここをキャンプ地とする!!」「ええ!ふざけんなよぉ」
と一人、藤村Dと若き日の大泉洋を演じたが、今回の大泉洋はニヤニヤしている。
改めて駅構内(と言っても15畳ほどの広さ)を見て回る。
汽車(北海道では電車を汽車と呼ぶ人が多い)は1時間に1本。しかも上り下り合わせてだ。
よし、この隙に歯磨きしちゃおう。
ついでに身体拭いちゃおう
ん?掃除用の排水台で頭洗えるんじゃね?
人が来ないのをいいことに最終的に全裸になって身体を拭いた。