廃墟のような墓地

(画像=『たびこふれ』より引用)
広大な墓地を奥へと向かうと、少しずつ雰囲気が変わっていくことに気付くでしょう。多くの墓石が生茂る草木に覆われています。そればかりか、墓石の幾つかは木々に押しつぶされて倒されています。墓地の多くの区画は手付かずになっており、自然に覆われてしまっているのです。そのため、ドイツにある他の墓地が持つ整備された公園のような趣はありません。
多くの人が訪れる場所とはいえ、ここでは廃墟のような雰囲気さえ感じられるでしょう。しかし、このような状態になっていることには理由があるのです。

(画像=『たびこふれ』より引用)
ベルリンから消えたユダヤ人

(画像=『たびこふれ』より引用)
ユダヤ人墓地の墓石の数からわかるように、かつてはベルリンに多くのユダヤ人が住んでいました。1920年代にその数は16万人を越えていたそうです。
しかし、1930年代になると状況は一変します。ナチスが政権を握るとユダヤ人の迫害が始まったのです。ドイツから逃れて亡命する人もいれば、強制収容所に送られて命を落とす人もいました。こうしてベルリンからユダヤ人は姿を消すことになったのです。そして虐殺や亡命によって、世話されることのない墓地が多く生み出されたのでした。
このようにベルリンのユダヤ人墓地の一部が手付かずになっているのは、ナチスによるホローコストの影響なのです。

(画像=『たびこふれ』より引用)