ゼレンスキー大統領と会談する岸田首相と 首相官邸HPより

習氏はプーチン氏の賞味期限はもうすぐ切れるとみる中で新ロシア政権をどう支援するか、その際に中国とどのような連携ができるのかを探っているものと思われます。多分、今回習氏がわざわざモスクワまで行ったのはミシュスチン首相にも会いたかったのではないかとみています。取りも直さずプーチン体制が崩れた際の選択肢を見ていると考えています。

ウクライナ問題について習氏は「戦争終結」を提案しているのは間違いないと思います。ただ、その条件がウクライナと西側諸国に受け入れ難い内容で今後、中国がプーチン氏の意向を抱きかかえて和平工作に入るとみています。習氏はゼレンスキー大統領とも会談を望んでいるともされ、この後すぐにウクライナ入りする可能性も非常にスリムですがないとは断言できないでしょう。ゼレンスキー氏はそうなれば会うし、オンライン会談も受けると思います。

岸田氏はゼレンスキー氏に西側諸国の意向と姿勢を改めて強調し、一定の物的金銭的支援を申し出るとみています。G7議長としての立場もあるでしょう。ただ、それでは外交的達成感は少ないと思いますが、協調を大事にする岸田氏としては自己満足かと思います。

ただ、戦況が1年以上に及び、膠着した感じもする中で今後もウクライナの前線での活躍を後押しばかりするのも良識的にはおかしいのです。やはり、岸田氏としては停戦交渉のきっかけも探るべきでしょう。ウクライナの条件は分かっています。領土はもともとあったところを全部平和裏に返せ、壊されたものを全部直せ、です。一方、ロシアはクリミア半島とそこにアクセスする地域は100%譲歩することはないでしょう。あの半島がロシアにとってどれほど重要か、ロシア建国以来の要所であることは明白です。

G7議長としてウクライナを応援するというのでは子供の遣いにしかなりません。私が思うのはプーチン氏が習氏を代理役に立てるならウクライナは岸田氏を立てる、そしてアジア人同士で和平交渉をする、という世界の歴史で初めての白人同士の戦争をアジア人が仲裁することが可能ではないか、と思うのです。飛躍しすぎかもしれません。しかし、バイデン政権は停戦や仲裁は出来ないでしょう。トルコのエルドアン大統領もインドのモディ首相もアリですが、ここは日本が仲裁に入る絶好の立ち位置にあると私は思っています。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年3月22日の記事より転載させていただきました。