厳冬を前に厄介なことが起きた。ただ、戦時下ではそのような出来事は想定外ではなく、いつ起きても不思議ではない。だから、戦争当事国は争いがコントロールを逸脱して暴走しないように注意しなければならない。戦争時では火遊びは厳禁だ。

ポーランドのドゥダ大統領(2022年11月15日、オーストリア国営放送のスクリーンショットから)

ミサイルが着弾した場所(2022年11月15日、ポーランドのプシェウォドフ村、オーストリア国営放送のスクリーンショットから)

ロシア製ミサイルが15日夜(現地時間)、ウクライナの隣国ポーランド領土のプシェウォドフ村に着弾し、2人のポーランド人が死亡した。同ミサイルがロシア製であることはほぼ間違いないが、ロシアから発射されたのか、それとも同じロシア製ミサイルを保有するウクライナ軍からかは依然、不明だ。ポーランドのドゥダ大統領は同日、即、軍に緊急体制を発する一方、16日に国家安全評議会(BBN)を招集するとともに、北大西洋条約機構(NATO)に緊急会議の開催を要求、事件の全容調査に乗り出した。NATO憲章4条に基づき、「同盟国はその主権が脅かされた場NATOとロシアが衝突する最悪のシナリオ合、同盟国と連携して対応を協議できる」ことになっている。

ロシア国防相は、「ロシア軍が発射したミサイルではない」と強調。インドネシアのバリ島の20カ国主要国首脳会談(G20)に参加中のバイデン米大統領も同日、「初期段階の情報ではミサイルがロシアから発射されたとは考えにくい」と発言し、ロシア側の主張を間接的に認めている。

バイデン大統領は今回の出来事が契機となって、NATOとロシアが衝突する最悪のシナリオを回避したい思いが強いだろう。着弾したミサイルを回収すればミサイルがロシア製であることは分かるが、そのミサイルの発射地を検証するには時間がかかる。