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回廊に並ぶ24のショーケース
お土産物ショッピングや食事も楽しめる

回廊に並ぶ24のショーケース

吹き抜けを囲む回廊にはショーケースが並び、上階では「写真家たちが見た街の歴史」、下階では「アムステルダムの12の感動の物語」をテーマにしたコレクションを見学できます。

アムステルダムのレトロな別世界「スタッズアルキーフ」
(画像=『たびこふれ』より引用)

スタッズアルキーフでは21世紀初頭まで、建物の解体や区画整理に先立って、アムステルダムの街並みを記録するために写真家が雇われていました。

現在の街と比較しながら、史料として眺めるのも興味深いですが、私はいつもアート作品として楽しんでいます。なかでもジョージ・ヘンドリック・ブライトナー(1857-1923)は、アムステルダム印象派を代表する、私が好きな画家の1人です。

ブライトナーは画家としてアムステルダムを描き、写真家として街を記録しました。その写真には素描作品のような美しさがあります(上写真)。

アムステルダムのレトロな別世界「スタッズアルキーフ」
(画像=『たびこふれ』より引用)

左上:アムステルダムの最も古い居住地とされるニーウェンダイクで発掘された、1225年から1300年頃の革靴。履き心地の良さそうな形で、800年前の靴とは思えないほど良好な保存状態です。

右上:奴隷の虐待に関する、公証人による1765年の陳述書。30cmほどもある本の厚さに驚いてしまいました。「奴隷船では船主らが、奴隷に殴る蹴るの暴行を加えていた」など、乗組員による証言も記載されています。

左下:1864年にフレデリクス広場に完成した展示ホール「パレイス・フォー・フォルクスフライト」。残念ながら1929年4月18日の火災により焼失しています。

右下:第二次世界大戦中、ユダヤ人を識別するために「J」の字が刻印された身分証明書と、着用が義務付けられたダビデの星。この身分証明書の持ち主2人は1943年末に隠れ家で逮捕され、翌年、アウシュヴィッツで虐殺されました。隣には、1934年に小学校の教室でクラスメートと撮影されたアンネ・フランクの写真も展示されていました。

アムステルダムのレトロな別世界「スタッズアルキーフ」
(画像=『たびこふれ』より引用)

一番印象に残ったのは、孤児院の記録(上写真)です。1800年1月3日にプリンセン運河沿いで、エリザという女の子が生後わずか1日目で発見されました。エリザのそばに残された半分に切られたトランプは、いつか両親が残り半分のトランプを持ってエリザを引き取るため割符でした。エリザは孤児院に引き取られましたが、10日後に亡くなってしまったそうです。

お土産物ショッピングや食事も楽しめる

スタッズアルキーフでは企画展も開催され、70人ほどが入れる小さな映画館(上写真)ではアムステルダムに関する映像作品が上映されています(いずれも無料)。毎週日曜日の午後には、デ・バーゼルの見学ツアー(有料)も開催されています。

スタッズアルキーフの書店では、アムステルダムに関する本の他に、ポストカードやカレンダー、アクセサリー、キッチンウエアなどのお土産物も購入できます。

デ・バーゼル内のカフェレストランもおすすめです。今回私は、ハイネケンビールを片手にビッターバレン(球状のコロッケ)を頬張りながら、「宝物室」の余韻を楽しみました。

アムステルダムのレトロな別世界「スタッズアルキーフ」
(画像=『たびこふれ』より引用)

スタッズアルキーフは、シンゲルの花市場からは徒歩3分ほど、アムステルダム国立美術館からは10分ほどの場所にあります。アムステルダムの散策中に立ち寄ってみてください。

スタッズアルキーフ Stadsarchief Amsterdam

  • 所在地:Vijzelstraat 32, 1017 HL Amsterdam
  • アクセス:アムステルダム中央駅よりトラム24番(VUmc行き)で6分Muntplein下車徒歩3分
  • 営業時間:火~金 10:00~17:00/土・日 12:00~17:00
  • 見学ツアー:毎週日曜日14:00より/7.50ユーロ
  • 公式サイト:Stadsarchief Amsterdam ※施設の詳細やアクセス方法など掲載内容は2023年3月時点のものです。

文・写真・Kayo Temel/提供元・たびこふれ

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