目次
■斎藤工にとっての隠れ家とは、休息の場であり自分の真価を問われる場所
■斎藤工が描く今後の展望。「自己優先主義の限界を認めたことから始まる表現」

■斎藤工にとっての隠れ家とは、休息の場であり自分の真価を問われる場所

「40代からは、自己完結の先にある広いフェーズを追い求めて」|俳優・斎藤工
(画像=『男の隠れ家デジタル』より引用)

俳優として多様な感情に触れる僕にとっての隠れ家は、自宅ですね。隠れ家であり、本拠地でもあるんですけど。理由は、コロナ禍もあって自分が1番長くいる場所を休息ややすらぎを感じられる場所にしたいなっていう。

他には映画館もそうですね。思いのほか仕事が早めに切り上がった時とかは、現在地から近い劇場を探して、今から観れそうな作品をランダムに観ることはしょっちゅうしています。比較的、一人で完結することがスケジュールにも都合がいいんです。友達がいないわけじゃないんですけど、“ひとり事”っていうか、それが映画の1番の魅力だと思う。

自宅や映画館という結果的に自分と向き合わざるを得ない空間で、いかに肩の荷を下ろすか。映画館は、最低週に1回ぐらい行きますね。アカデミー賞のシーズンが近づいてきたりすると、もっと増えていきます。映画の紹介番組もやっているので、分析をしようとする解析目線で観てしまうとこもあるんですけど、本当にいい作品は、それをも凌駕してくれるんです。その日の自分の状態というより、作品がイニシアチブを取り出すというか、いろんなことを払拭してくれる。意外とコンディションが整ってない状態で映画館に行くと、今の自分の真価が問われていることを作品から教えられることがありますね。

■斎藤工が描く今後の展望。「自己優先主義の限界を認めたことから始まる表現」

「40代からは、自己完結の先にある広いフェーズを追い求めて」|俳優・斎藤工
(画像=『男の隠れ家デジタル』より引用)

今後の活動の展望を語るとすれば、20代、30代を俳優として生きてきて、自分のために活動をしていくことに対しての陰りが見えたんですね。だからこそ、他者との融合を意識しています。

例えば、誰かの誕生日プレゼントを選んでる時は、もらう人以上にきっと楽しめてると思うんですよね。そこには、いつもの自分とは違うトルクみたいなものが作動していて、そういったエネルギーの方が分母が大きいんじゃないかなって。親が子どものために注ぐエネルギーというか。そういった感じで自分の生かし方をどんどん移行していかないと、八方塞がりみたいなところに行ってしまう。

僕的には、自分のための自分事って、“この程度なんだ”っていう輪郭が見えてしまったので、ここからは広い分母にどんどん変換していくフェーズなんです。きっと家庭を持っていたり、お子さんがいたりすると自然と優先順位が変わっていくんだと思うんですけど。

自己優先主義の限界を認めたことから始まる、全てのことを受け止めていきたい。僕は20代、30代で自分の半径の狭さを1度自覚するというのが必要な期間だったなと思っているので。40代からは自由に生きるために他者をこの方程式に入れていかないと、可能性が広がっていかないことを痛感しています。

斎藤工プレゼンツみたいな、その“斎藤工”っていう部分が掲げられてる時点では、まだまだ自分事に寄っているなと。移動映画館など様々なプロジェクトをやっていますけど、そこで斎藤工というフレーズが枕言葉にならなくなった時に、本当の意味で自分の生かし方につながるはずなんです。そこを目指して、毎日生きていきたいなと思います。

【作品情報】
『零落』

「40代からは、自己完結の先にある広いフェーズを追い求めて」|俳優・斎藤工
(画像=『男の隠れ家デジタル』より引用)

©2023浅野いにお・小学館/「零落」製作委員会
製作幹事・配給:日活/ハピネットファントム・スタジオ

主人公・深澤薫は、漫画家として絶大な人気を誇っていた。しかし、長期連載の終了と共に次第に低迷していき、担当編集者や妻とも不仲になってゆく。そんな時、とある風俗店で出会ったのが「ちふゆ」である。深澤は彼女との出会いを機に、堕落への一途を辿るのだが……。
クリエイターの苦しみが生々しく描かれた本作を、ぜひ劇場でご覧いただきたい。

原作:浅野いにお「零落」(小学館 ビッグスペリオールコミックス刊)
監督:竹中直人
出演:斎藤工 、趣里、MEGUMI、玉城ティナ / 安達祐実 ほか
3月17日(金)よりテアトル新宿ほか全国ロードショー

文/池田鉄平 撮影/井野友樹 ヘアメイク/赤塚修二 スタイリスト/三田真一

提供元・男の隠れ家デジタル

【関連記事】
【名車リスト85選】古いクルマってなぜこんなにも魅かれるのだろう?往年の名車とオーナーの物語|憧れのクラシックカースタイル
時を超えて美しい姿を留める「現存十二天守」の城を歩く。|それぞれに異なる城の魅力を徹底的に探ってみたい
かつて夢見た仕事に縛られない暮らし——働き方も暮らしも変われば海外移住も夢ではない
山城・古戦場・歴史道ベスト34|見ているだけで癒される歴史スポット
ひとり家呑みのススメ。~14人のひとり家呑み部屋~