外国人の爆買いに沸く日本と期待外れのタイ

こうやって書くと、2019年までアジア最大の観光大国を誇ってきたタイが、いよいよ復権してきたと思えてしまうのであるが、実は現地の観光産業はそれほど手放しで喜んでいるわけではない。

というのも、これまで入国してきた750万人の外国人観光客の内、約500万人はマレーシアを中心とする陸路で来るような近隣諸国からの観光客であり、短期滞在がほとんどで大してお金を落としてくれないというのである。

ちなみに、現時点での外国人観光客のトップ5はマレーシアが128万人で、続いてインドの68万人、ラオスの56万人、そしてカンボジア、シンガポールがそれぞれ4万人弱ということだ。また、滞在期間も2〜3泊がほとんどで、長くてもインド人の4〜5泊ということである。

従って、観光収入という点では、裕福なシンガポールを除けば近隣諸国からの観光客にはあまり期待できそうにない。例えば、2019年には1泊1万バーツ(38,000円)以上もしていた5スタークラスの高級ホテルは稼働率がいまだに低迷していて、今も1泊2,000から3,000バーツの格安レートを余儀なくされているということだ。

やはり、欧米人などの長期滞在型観光客が来てくれないことには、落とすお金も小さくてタイの観光産業界にとっては期待外れというわけである。

一方、日本には陸路で来るような観光客はいないし、欧米人だけでなく台湾やタイからも多くの観光客が来ているが、彼らは滞在期間も長く何しろお金も十分持っている。さらに、今の円安もあって平気で高級ホテルに泊まり、高価な商品を爆買いするのでデパートなどが潤っている。

その結果、この表からもわかるように、パンデミック前には610億ドルの国際観光収入があったタイ、そして460億ドルの日本がアジアの2トップであったのだが、もし今の流れがこれからも続くとすれば、2023年には日本とタイの位置が逆転してしまうかもしれないのである。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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