寿命は1年から2年と短い

漁師さんにとっては大変な負担となること間違いない。網の処分・買い替え、さらになくてはならない船の購入費、修繕費、燃料費、係留費など、莫大な費用がかかる。高齢の漁師さんとなると、とても困難であることが伺える。

毎年2000tが廃棄

そして毎年廃棄される漁網の量。なんと2000t。想像がつかない量である。漁網にピンと来なければ、私たちが使う釣り糸2000tでもいいだろう。それにしても想像がつかないが、相当の量ということがわかる。DAIWAではそのうち100tを回収してリサイクルしているとのこと。100tという量も相当な量である。

協力なしでは実現なし

北海道の漁協から協力を得て企業側で回収し、1社で加工までというのには当然限界がある。漁協の方や、リサイクル関係の企業にも恵まれて、このプロジェクトが実現したとのこと。

大阪フィッシングショーに行ったら【釣具よりリサイクル活動に興味を惹かれた】リサイクルで作られた製品(提供:TSURINEWSライター笠野忠義)

生地になるまでの工程

(1)回収した廃棄漁網は回収業者によって回収され、それらを洗浄し、チップ化

(2)チップ化したものを一旦液状化し、細いノズルに通して糸(原糸)にする

(3)糸を何本かより合わせて糸にし、染色をし、生地に仕上げる

強度やコストに苦労

製品化まで来たが、ちょっとした疑問が。

私:「廃棄される漁網なので、強度的にどうなのでしょう?」

D:「はい、とても苦労しました。初めはいろいろ苦悩がありましたが、そちらはクリアしました。」

私:「あと、生地にするまでにこれだけの工程があって、いくつもの企業様が中間に入って、コスト的にはどうなのでしょうか?」

D:「リサイクルしたとはいえ、現段階では販売はしておりませんが、変な話、新品のものより若干割高になりそうです。」

海中に長い時間あるものなので強度の部分がどうなのか気になって質問してみた。色々試行錯誤されて強度を出せるようになったそうだが、この問題に取り組んでいる時に「漁網の材質を変えたら?」なんて話題もあったそうだ。しかし、現状では難しく、漁網も当然強度の問題がある。

単純に、「海中に残るんだから生分解にしたら?」と思う人もいるだろうが、強度的にもコスパ的にも無理がある。製品も、新品と遜色ない出来栄えで、「リサイクルされてできたものです」と言われないとわからないレベルだ。生地の強度も、肌触りも、見た目もぱっと見リサイクル品とは思えない。販売価格の部分も何か模索しているようだ。