努力が成果につながらない時も……ありますよね?

自発的な転職を考える機会はみなさんにもあると思います。とはいえ、寝耳に水の退職勧奨はできることなら遠慮したいものです。

その可能性を減らすためには、会社から「有用な人材である」と思われておくに越したことはありません。そこでみなさんはこうお考えになるはずです。「なるほど。それならば、一生懸命がんばってパフォーマンスを上げよう!」

……そのとおりです。そのとおりなんですが、これがなかなか難しい。

毎月、会社から求められる結果をクリアし続けることができる“超ハイパフォーマー”なら良いのですが、現実的に無理があります。年齢や職位が上がっていくにつれ、仕事の範囲は広がっていきます。

成果を上げるためには、自分やチームの頑張りのみならず、タイミングや運が少なからず必要です。

結果にこだわることは大事ですし、ステキなことですが、「一回もミスれない」という強いプレッシャーを自らに課しながら仕事をすると、疲弊してしまい、逆に結果を出せなくなる危険もあります。

「アカウンタビリティ」で次のチャンスを逃さない!

いくら努力しても会社に求められた結果にたどりつけない時に重要になるのは、「アカウンタビリティ」です。

日本語でもっともしっくりくるのは「説明責任」でしょうか。「求められている結果が出せなかった」という事実を出発点とし、納得のいく説明をし、次の機会を獲得するのです。

・事実として数字はどうなっているのか、未達はどの程度だったのか
・なぜその未達が発生してしまったのか、原因は何か
・原因を解消するため対応策はどんなものか
その対応策にはどの程度のインパクトが見込めるのか

これらをしっかりと説明することができれば、結果が振るわなかったとしても、引き続きチャレンジする機会は得られます。その中であらためて結果を出すことができれば、「有用な人材」と認識されるのです。

もちろんすべての事象の原因をきれいにロジカルに整理することはできません。また、いくらアクションを考え抜いたとしても、不確実な未来において対応策が成果をたたき出す保証はありません。

しかしながら、原因の振り返りや説明もなく、ただアクションを打ち続ける人と比べて、毎回の事象を可能な限り言語化&定量化して、次につなげようとする人は、会社全体に良い影響を与える可能性が高いでしょう。

今後、日系企業においても、雇用の流動化が進むかもしれません。その時に備えて、自身の仕事のスキルアップに加え、「アカウンタビリティ」についても意識すると、日々安らかな気持ちで仕事を進められるようになるはずです。

<著者プロフィール>

伊藤祐
Zenyum Japan
代表取締役社長

アクセンチュア株式会社およびフロスト&サリバンジャパン株式会社において、約9年コンサルタントとして経験を積んだ後、OYO Japan株式会社において戦略企画室長を務める。その後、現職に就任。

著書『得する説明 損する説明』(SBクリエイティブ社)を2023年3月に出版。