米テレビ番組の人気司会者が質問状を送付

全米で一二を争う人気司会者であるFOXニュースのタッカー・カールソン氏は共和党から大統領選に出馬を表明した候補、又は出馬が予定されている政治家に向けて7つの質問事項を送付し、回答を依頼した。

回答を求めた設問はどれもウクライナ戦争や対ロシア政策に対して各候補者がどう考えているかを知る目的でカールソン氏から投げかけられたものである。

カールソン氏自身がどう答えるかは彼の番組内での発言を追っている人たちにとっては自明だ。答えはおそらくほとんどノーであるはずだ。(ウクライナ支援については逆に減らすべきだと答え、ウクライナ戦争の長期化によって核戦争のリスクに直面していると答えるだろう。)

反ネオコン、反ウクライナの発言を繰り返すカールソン

カールソン氏は以前からジョン・ボルトン元安全保障補佐官やリンゼー・グラハム上院議員などといった他国の政権転覆を厭わない強硬路線を主張するネオコンと呼ばれる人々を痛烈に批判をしてきた。その延長線上で、カールソン氏は戦争がエスカレーションし、核戦争の危険性を高める米国政府のウクライナ支援を痛烈に批判してきた。

また、ウクライナ政府やゼレンスキー大統領自身に対しても番組内で切り捨ててきた。例えば、彼はゼレンスキー大統領がキリスト教に対し宣戦布告をしたとしている。また、さらなる支援を求めて米国議会で演説をしたゼレンスキー大統領がストリップクラブの経営者であるとも罵倒している。

反ユダヤ主義者でプーチン擁護派のタッカー・カールソンが、ゼレンスキーを「キリスト教に宣戦布告した」と非難している場面は注目に値する。

タッカー・カールソン、ゼレンスキー大統領を追及し、”ウクライナのストリップクラブ経営者 “と呼ぶ

これらの一連の発言をカールソン氏が本当に信じているかはともかく、保守系の視聴者が好むメッセージがそれらの中には含まれている。タカ派を批判する発言は保守派の中で伝統的に根強い孤立主義者が好むものである。また、ウクライナ批判は、社会保守的な政策を進めるロシアにシンパシーを覚える米国内の教条的な社会保守、トランプ前大統領の弾劾裁判がウクライナによって引き起こされたとする陰謀論者、逆張りを好む保守層に刺さる。