現在はタイ在住の大里です。
タイ人の多くが生涯に一度は参拝したい!そう願う寺院があるのをご存じですか?
それがタイの北東部、ウボンラーチャターニー県ある超美しい幻想寺院「ワット・シリントーンワララーム・プープラオ(Wat Sirindhorn Wararam Phu/Wat Phu Prao)」なのです。
バンコクからは離れた場所にも関わらず、魅惑的な寺院は多くの人のあこがれ!もちろん日本人で行ったことがある人はごく限られ、超穴場といえるのです。
ではなぜ、それほどまでに有名なのでしょうか?それは蓄光(夜光)によって光るとても珍しい寺院だからです。タイ観光ではぜひ、その美しい光の中を歩いてみてはいかがでしょうか。
神仏が一体になったナーガ

多くのタイ人があこがれる寺院ワット・シリントーンワララーム・プープラオ(วัดสิรินธรวรารามภูพร้าว)。実はこの呼び名の他に、ワット・シリントーンワララームや単にワット・プープラオ等、様々な呼び方をされる珍しい寺院になっています。
場所はタイの北東部、ウボンラーチャターニー県にあります。バンコクからは約630kmあるので、観光ではレンタカーの他、多くの人は飛行機や長距離バスでの移動をしています。
ウボンラーチャターニー市街地からワット・シリントーンワララーム・プープラオまでは、さらに東方向へ約90kmの距離があり、バンコクを中心とした都市部で生活する人たちにとっては、さすがに何度も行くことは難しい場所。だからこそ多くの人は、いつか必ず・・・、そんな思いを持っているのです。
それでは最初に、寺院のシンボル的存在であるナーガについて説明します。
タイの狛犬ともいえる神仏融合のナーガは、寺院の正面両側にあります。その起源はインド神話であり蛇の妖精にして神なのです。鎮座している姿は、日本でいう狛犬と同じと考えて問題ないでしょう。仏教のイメージが強いタイですが、このように神仏が一体となった様式が多くあるのです。実は日本の歴史とも類似しています。
日本では明治政府による神仏分離が徹底されるまでは、各地で神仏習合の宗教が一般的でした。その流れはある意味現代まで残されているのでは。なぜなら、家は各宗派の仏教でありながら、神社へ初詣や様々な祈願のため参拝するという人も多いからです。お寺と神社は別のものと考えていても、実際はどちらにも行くのが多くの人。日本の長い歴史で神仏は同じ場所で崇めていたことの名残ともいえるのではないでしょうか。
タイの狛犬ともいえる本堂正面の迫力あるナーガですが、通常7つの頭を持ち、それはまるで日本のヤマタノオロチのようです。
タイでは様々なナーガの変形があり、1つの頭や3つの頭など、7つとも限らないのです。いずれにしても、イメージはインドのコブラから来ているとされ、インドの神と仏教とが融合したタイ独自の宗教感であり、さらに各地域でそれぞれ変化をしてきた歴史があるのです。
割と質素かも?寺院の本堂内

正面から靴を脱ぎ階段を上がって本堂の中へ。タイで寺院を巡る際は、本堂前や場所によっては敷地内に入るときに履物を脱ぐのが大原則です。参拝者がいない場合でも、敷物がある場所、階段がある場所で脱ぐことを忘れないようにしてください。
ワット・シリントーンワララーム・プープラオは、バンコクを中心とした多くの寺院に見られるような絢爛豪華な黄金の世界ではなく、とても質素に感じられる本堂内になっています。
仏陀の背後の後光にはタイの寺院では珍しいガラパプルックの木のデザインが使われ、そこに細やかな装飾が施されています。ワット・シリントーンワララーム・プープラオの独自の世界観が感じられるはずです。そして裏手に回り本堂側を見ると、外壁に描かれているのもガラパプルックの木です。
では、そのカラパプルックの木とはどのようなものなのでしょうか。これは神話の中に登場する木なのです。
寺院裏手の外壁に描かれたガラパプルックは、日中の光を吸収し、夕方から徐々に幻想的な美しさを見せることになります。