もちろんミスタッチ多い、でもそんなのどうでもいい!と思わせてくれる、感情と情緒の深さ。彼の音が、お腹にずしんと響くように訴えてくるようで、素晴らしい。

ショパン全部を通して、哀しげな通奏低音の気配を常に感じさせながら、そこに、希望や慈悲、愛情や溜息、そして夢を紡ぎ出す感じ。さっすが師匠!弟子とは一線も二線も画す感情表現。リウも、もっともっと経験を積んで、ダンみたいな深い感情表現を出せるようになるといいね。

この二人、そもそもの演奏スタイルが陽キャと陰キャで全然違うと感じる。だからこそ、仲良しなのでしょう。

アンコールは、ショパンのなんちゃらのヴァリエーションと、ラヴェルのなんちゃらを、連弾で。曲ごとにパートを変えて、楽譜に二人仲良く頭を引っつけて、楽しそうに弾いている姿が微笑ましい。師弟関係でいる時の二人はこんな感じなのね~。

ダン・タイ・ソンの深い深いショパン像に感動した演奏会。

「葬送」もう一度読みたくなった。さすがはショパンコンクール優勝者!この年のコンクールで大注目されたイヴォ・ポゴレリチと聴き比べしたくなる。彼の音色、未体験。3月のリサイタルに行きたいのだけれど、プログラムがう~ん。。。どうしようかな。

編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々4」2023年2月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々4」をご覧ください。