この絵を描いたのはあんた達だ
ある日ピカソは、ナチス側の人物から問われました。「この絵を描いたのは貴様か?」と。
するとピカソはこう答えました。
「いや、この絵を描いたのはあんたたちだ」。
私はこのエピソードが世界史の中で1番好きと言ってもいいほど好きです。戦争がなければこんな悲劇的な絵画を生み出すことなんてなかった。これを描かせたのはナチスだ、という強烈なピカソの皮肉に、脱帽です。
ゲルニカの歩んだ旅路
そして戦争が終わり、ここからゲルニカの旅は始まります。
ノルウェーやイギリスなどを巡回展示されたゲルニカは、世界中で喝采と感動を与えます。
ピカソの情熱、戦争の悲惨さ、人間の残虐性、、、モノクロの絵からゲルニカは世界中の人々の心を突き動かしていました。
そして世界最大の「反戦メッセージを持つ絵画」としてゲルニカは不動の地位を得ます。
ピカソは展示で得た報酬をスペイン内戦復興の支援にあてています。
しかし、このゲルニカをすぐにスペインに戻すことはできませんでした。そこにはピカソの「完全な民主主義国家となるまでゲルニカはスペインには送らない」という信念があったからです。
そして、スペインが完全な民主主義になるまでゲルニカはニューヨークの近代美術館に保管され、ゲルニカ誕生から約40年、ついに完全民主化を果たした1981年にスペインに返還されました。

(画像=<美術館には無料で入れる時間帯もあるので要チェック!>、『たびこふれ』より引用)