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2022年2月の国連安保理常任理事国で核保有国でもあるロシアによる非核保有国ウクライナに対する国際法違反の軍事侵略は、日本国民に衝撃を与え、如何なる世論調査を見ても国民の多数が「反撃能力」保有を含む日本の防衛力強化に賛成している。そのため、岸田政権は他国による侵略から、国民の命と平和な暮らしを守るため、「反撃能力(敵基地攻撃能力)」保有を含む防衛力の抜本的強化に乗り出し、同盟国の米国バイデン政権もこれを高く評価し歓迎している。
すなわち、岸田政権は2022年12月16日下記の「安保3文書」を閣議決定した。「国家安全保障戦略」では、中国について、「我が国と国際社会の深刻な懸念事項であり、これまでにない最大の戦略的な挑戦」と規定した。「国家防衛戦略」では、敵の弾道ミサイル攻撃などに対処するため、敵のミサイル発射基地等をたたく「反撃能力」の保有を明記した。「防衛力整備計画」では来年度から5年間の防衛費として概ね対GDP2%の総額43兆円を明記した。
画期的な「反撃能力」保有上記の閣議決定のうち「防衛力整備計画」で定めた、防衛力強化のための5年間総額43兆円の防衛費増額は日本の安全保障上極めて重要である。そのうえ、「国家防衛戦略」で定めた「反撃能力」の保有は日本の安全保障政策の大転換として画期的である。なぜなら、これまで日本政府は合憲ではあっても防衛政策として「反撃能力」を保有しなかったからである。
しかし、中国、ロシア、北朝鮮によるミサイル技術開発が飛躍的に進歩した結果、極超音速弾道ミサイル、多弾頭ミサイル、変則軌道ミサイル、ミサイル飽和攻撃などに対する迎撃が、現行のミサイル防衛では困難となり、国民の生命・財産を守るためには敵のミサイル発射基地等をたたく長射程弾道・巡航ミサイルを含む「反撃能力」が必要不可欠となったのである。