ハンブルク市長を務めたことがあるドイツのショルツ首相は、「ハンブルクからの恐ろしいニュースに非常に驚いている。私の思いは犠牲者とその家族と共にある」と述べている。

なお、ドイツの「エホバの証人」は声明文を発表し、「警察、救急車関係者の迅速な救援活動に感謝する。私たちは警察当局の捜査に協力していきたい。現在は、亡くなった信者とその家族に対して深い哀悼の意を表明する」と述べている。

「エホバの証人」は、19世紀に米国でチャールズ・テイズ・ラッセルらを中心に発足したキリスト教系新宗教グループ。世界本部はニューヨーク州ウォーウィックに置き、全世界で「ものみの塔」聖書冊子協会などの法人名で活動している。信者数は世界で約850万人と推定されている。ドイツでは約17万5000人の信者がいる。

教義は聖書を経典とし、創造主・神をエホバ(ヤハウェ)と呼ぶ。キリストは神の子であって神ではなく、天使長ミカエルと同一と受け取っている。人類の始祖、アダムとイブが神の戒めを破り、サタンのもとに走った結果、世界と人類はサタンの支配下にあると考える。神は終りの日に世界を救うためにキリスト率いる神の軍団を降臨させ、大戦争(ハルマゲドン)の末、地上に神の国を再建する。神の教えに従う人間のみが、救われ、復活し、永遠の命を得るという。その教えは聖書の聖句をその文字通り解釈して、実践する。神の名「エホバ」と「神の王国」がその教えの中核だ。「エホバ」と「神の王国」について語るゆえに、「エホバの証人」と呼ばれる(日本「エホバの証人」公式サイトから)

「エホバの証人」は教義に基づき、輸血を拒否し、兵役を拒否している。そのため欧米社会ではたびたび物議を醸したことがある。また、終りの日(終末)を聖書に基づいて予言してきたが、その予言が外れ、多くの信者たちが教会から脱会するということが過去、起きている。政治に対しては中立を保っている。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年3月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。