中国の習近平国家主席が推進してきた「ゼロコロナ」政策は昨年12月7日を期して撤回されたが、中国各地でコロナウイルスの新規感染者が急増している。そのような中、外国への渡航制限が解除されたこともあって、1月21日から始まる春節(旧正月)前後に中国旅行者が欧州に殺到することが予想されている。観光業者やホテル業者にとっては朗報だが、喜んでばかりはいられない。中国人ゲストを迎える前に、欧州諸国は中国発のコロナ感染の再拡散を防ぐために予防措置を早急に取らなければならないからだ。

オーストリアのハルシュタット湖畔の風景(2015年11月5日、撮影)

オーストリアのハルシュタット湖畔の風景(2015年11月5日、撮影)

ところで、アルプスの小国オーストリアは観光国だ。中国旅行者が好きな観光地はクラシック音楽のメッカ・ウィーン市のほか、オーバーエスターライヒ州のザルツカンマーグートにあるハルシュタット(Hallstatt)湖畔だ。中国人はオーストリアの湖畔の風景に魅了され、中国の企業が2012年6月、ハルシュタット湖畔の家並み、ホテル、教会、広場ばかりではなく、街の色彩までそのまま完全コピーし、中国で高級分譲地を建設し、販売を始めたほどだ(「オリジナルとコピーの“文化闘争”」2015年11月7日参考)。

中国旅行者がハルシュタット湖の美しさを発見する前は、湖とその周辺は静かだったが、中国旅行者が殺到して以来、約900人の住民が住むコミュニティはチャイナ・ヴィレッジ(中国村)となったわけだ。