介護業界での導入拡大に課題も

このような身体的負担を軽減するアシストスーツは国内外に様々あります。

介護施設向けアシストスーツでは、マッスルスーツのほか、装着者の運動エネルギーを利用して腰や背中への負担を軽減するアシストスーツ「レイボ エクソスケルトン」(株式会社加地)や、衣服型のパワーアシストスーツ「J-PAS fleairy」(株式会社ジェイテクト)、第二の背骨となるBb+(バックボーン)を背面に配置したアシストスーツ「サポートジャケットBb+PROⅡ」(ユーピーアール株式会社)などがあります。これから迎える超高齢化社会を前に、介護業界はアシストスーツの導入拡大が進むと期待されています。

一方、導入したい施設側からは「色々な種類のアシストスーツがあって、何がうちの施設に合うのかわからない」「体験してみようにも体験できる場所がない」との声もあがっています。

アシストスーツ会社としても、全国にある介護施設に導入の交渉をするのは大変な時間と手間がかかるため、なかなか導入が進んでいないのが現状です。また、一台十万円~数十万円するアシストスーツの価格の高さも課題です。

介護施設での腰痛負担を軽減し、きたる超高齢化社会を安心して迎えるためにも、アシストスーツ関連企業が協力してアシストスーツの認知度向上、啓蒙活動を行っていくことが必要だと考えています。

今後は介護施設に入れず、自宅で介護をする方が増え、腰痛に悩む方が多くなることも予想されます。介護施設に限らず、自宅でもアシストスーツを取り入れた腰の負担軽減策が拡がることを願っています。

<著者プロフィール>

小山寿弥
株式会社イノフィス
国内営業部 部長

1976年長野県生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、ウェザーニューズに入社、気象コンサルに携わる。ライドオンエクスプレスを経て、新規事業開発とIPOを経験。2019年株式会社イノフィス入社。営業企画部を経て現職へ。

会社URL:https://innophys.jp/