安全保障に対する危機感が乏しい日本弁護士連合会

日本弁護士連合会の「反撃能力保有」に反対する意見書の特徴は以下のとおりである。

(1)意見書を読むと、日本弁護士連合会は、2022年2月の核保有国ロシアによる非核保有国ウクライナに対する国際法違反の軍事侵略及びプーチン大統領による核恫喝への安全保障上の危機感が乏しい。世論調査を見ると、多数の日本国民は相当な危機感を持ち「反撃能力保有」を含め防衛力強化に賛成しているのである。

(2)意見書を読むと、日本弁護士連合会は、中国・北朝鮮・ロシアの日本周辺国の核戦力を含む軍事力増強、とりわけ、ミサイル技術の急速な進歩による極超音速弾道ミサイル攻撃・多弾頭弾道ミサイル攻撃・変則軌道弾道ミサイル攻撃・ミサイル飽和攻撃等に対する、安全保障上の危機感が乏しく、日本のミサイル防衛の危機的状況からも目を逸らしている。

(3)意見書を読むと、日本弁護士連合会は、日本国民を相手国のミサイル攻撃等から守る抑止力の観点が欠落しており、反撃能力の保有による日本の抑止力補強の必要性を認めず、逆にこれを危険視している。これは、上記(1)(2)で指摘した日本弁護士連合会としての安全保障に対する危機感の欠如に由来するものである。

(4)意見書を読むと、日本弁護士連合会は、核開発を進め弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮や、武力行使を否定せず力による現状変更を躊躇しない軍事大国の中国による「台湾有事」や「尖閣有事」などに対する安全保障上の危機感が乏しい。

共産党に近い日本弁護士連合会の「反対意見書」

このように、日本弁護士連合会の「反対意見書」を読むと、上記(1)〜(4)で指摘した通り、ロシアのウクライナ侵略や、中国・北朝鮮・ロシアのミサイル技術の飛躍的進歩、北朝鮮の核開発・頻繁なミサイル発射、中国の力による現状変更などに対する、日本国民の危機感に比べ、日本弁護士連合会として、安全保障への危機感が乏しいのである。

そうだとすれば、日本弁護士連合会の立場は、抑止力の必要性を認めず、平和外交一辺倒の日本共産党の立場に近いと評価せざるを得ない。日本共産党も、反撃能力について、「憲法違反」「立憲主義違反」「専守防衛違反」などと、前記日本弁護士連合会の意見書で述べられている反対理由の骨子に近い主張をしているのである(12月17日~24日付「しんぶん赤旗」参照)。

さらに、日本弁護士連合会は、今から7年前の2015年成立の「平和安全法制」に対しても、日本共産党と同様に、集団的自衛権行使容認は立憲主義違反であり、危険な憲法違反の法制であると主張して反対していたのである(2015年5月29日付「安保法制等に反対する日弁連宣言」等参照)。当時、日本共産党は「平和安全法制」を「戦争法」であると宣伝し、立憲民主党の前身である民主党も「徴兵制になる」と宣伝していたことが改めて想起されるのである。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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