人間関係の苦痛を取り払うのに必要な金額

さて、人間関係の苦痛が生きる上での最大の苦痛になり得ると話した。次はこれを取り払うために必要な金額を考えたい。

まず人間関係の苦痛の出どころは仕事や学校関係など、逃げ場がないことがほとんどだ。友達付き合いとか、近所の人間関係に悩んでもその気になれば終わらせることは可能だ。友達なら連絡を切るとか、近所の人間関係は引っ越しすれば解決できる。子供の通う学校とか、自分が学生でクラスメートに嫌なやつがいるという場合でも卒業まで耐えれば逃げ切れる。

だが、仕事となると難しい。会社員の立場で職場に嫌なやつが上司で頻繁にストレスを感じるという場合は最悪である。自分の収入源の生殺与奪を握られており、しかもこちらは基本的に満期がない。だから根本解決が必要になる。

仕事での人間関係の悩みから解放されるには、自分がお客さんや付き合う相手を選べる立場の事業主か、専業の個人投資家、もしくはサラリーマンでも良質な人間関係に恵まれる職場に当たる運が必要だ。

さらにその上で経済的に困窮することがない収入を得ていることである。収入が心許ないと、せっかく自由を求めて事業主になっても、お金のためにクライアントワークや取引先で嫌な相手に我慢をすることになる。そうなれば結局、これまでと状況は変わらないからだ。

結論、東京在住者で独り身なら利益ベースで月50万円とか、家族を抱えているなら月100万円といった数字だろう。「多すぎるのでは?」と反論があるかもしれないが、サラリーマンと事業主は安定性や社会保険負担額などが違うため、立場の違いを考慮しての価格差である。このくらい収入があれば、衣食住もストレスを感じるラインを割ることはない。そしてこの売上は1つの取引先ではなく、分散していることが理想的だ。相手に生殺与奪を握られてしまうと、主従関係が生まれて生きづらくなるからだ。

広くお客さんが分散して、毎月このくらいのコストがあれば仮に付き合うとものすごくストレスを感じてしまうような相手は仕事を断ればいい。その分、売上は減っても気持ちよく付き合える相手と仕事をした方がトータルでは生産性も高まる。結果、自分に合う顧客とだけ仕事をすれば人間関係の苦痛から解放されるのだ。

衣食住が快適で、人間関係に問題を抱えていない。この状態は人生を生きていく上での苦痛がない状態だ。残念ながらこれは「イコール幸せ」という状態とはいえない。あくまで苦痛がないというフラットな状態にすぎない。

幸せを実感するには、自分の仕事が社会的に認められたり、他人から感謝を集めたり、愛する人と時間を過ごしたり、さらに人によってはたまの贅沢を過ごすことで初めて幸せは実感できる。それには自己肯定感を実感できる経験や実績、プラスアルファのコストが必要だ。しかし、とりあえずの苦痛を追い払うことができればそれだけで人生はとても生きやすくなるのは間違いない。まずは人生から苦痛を取り払う、本来の人生はそこから始まるだろう。

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