サミットは5月19日から21日に広島で開催されます。それまでに岸田氏がこなす重要な作業がふたつあるとみています。一つはウクライナに行ってゼレンスキー大統領に会うこと、もう一つは韓国徴用工問題で決着をつけることであります。

では首相はいつ、ウクライナに行くか、です。まずかなり隠密に行動しなくてはいけません。また安全対策上、ロシアに事前通告する公算は高いとみています。一方、ロシア、ウクライナ双方共、春に向けて総力を挙げた戦いが見込まれることから行くなら早い方がよいでしょう。国会で「緊急性ある海外渡航」を事由に国会への事前通告の省略に関してコンセンサスを取りつつあるように見えるので春分の日の3月21日にひっかけた渡航になるのではないかと勝手な予想をしています。それを逃すと5月のゴールデンウィークになりますが、その頃の戦況が見えないのでその選択肢になると一種の賭けになるかと思います。

もちろん、岸田首相がウクライナに行ってどうなるものではありません。個人的にはどうやったら停戦に持ち込めるか、プーチン氏を抑える方が重要だと思いますが、G7の輪と議長という立場となれば自分だけが戦地に行ったことがないというのは会議を進めづらいのだろうと思います。

また、G7では北朝鮮問題も大きく取り上げられるとみています。尹錫悦大統領をサミットに招待する予定になっているので両国間の最大の懸案の一つ、徴用工問題は韓国内で一旦終止符を打つ算段に出て、日本側と一定の折り合いを探るだろうと期待しています。一方、北朝鮮は刺激されると必ず、ミサイルを飛ばすのでG7の頃にかなり際どいことをする可能性は否定できません。それを今後は「強い言葉で非難する」から実行力を伴う何かをするかも一つの着目点になるかと思います。

最後に総選挙に打って出て岸田氏の信任を問うか、の点についてはあり得るとみています。やるなら秋までがそのタイミングになりそうです。G7が成功裏になれば、もっと早い夏もアリかもしれません。岸田氏の対抗馬の芽が出てくる前で岸田氏の功績が一定評価されるうちにやると考えるのがナチュラルだと思います。評価されていないじゃないか、という声もありますが、今後、数カ月で支持率が5割に向かって行けば大丈夫だと思います。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年2月28日の記事より転載させていただきました。