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異次元金融緩和の修正と両輪に

植田和男日銀総裁の就任によって、異常な金融政策は徐々に修正されていくだろうと期待します。そこに立ちはだかるのが政治サイドで、財政膨張しか念頭にないらしく、金融正常化をストップさせようとする圧力をかけてくるに違いない。

日本の23年度の一般会計は総額114兆円で、11年連続で最大を更新しています。普通国債残高は1005兆円、政府短期証券や借入金を合わせると、1256兆円です。異常な規模の金融緩和とセットになった財政膨張はとどまるところを知りません。こんなに財政常態が悪い主要国は日本だけです。

主要国では例をみない日本の財政膨張は、政治的な動機、時代的な背景、金融政策からの支援がセットになっています。植田新総裁に期待がかかるにしても、政治サイドが財政正常化に目覚めないと、金融正常化も進まない。

異次元金融緩和に対しては、軌道修正を迫る声、マネー市場からの警告(国債の空売り)が激しくなっています。

日銀の金融政策に対しては、やっと市場の監視、警告が作動し始めているのに、財政政策を動かす政治には危機意識がありません。「選挙の洗礼を受けた政治家が政策を決める。官僚は選挙で選ばれていない」が決まり文句で、財政膨張路線を暴走してきました。

財政膨張の「政治的動機」というのは、野党潰しを含めた選挙対策、ポピュリズム(大衆迎合のばらまき)、支持層、支持団体、支持基盤への配慮などです。財源調達は二の次で、歳出増しか考えない。