ロシアのプーチン大統領がウクライナに軍を侵攻させて以来、24日で1年目を迎えた。プーチン氏は短期間でウクライナを制圧できると考えていたが、ウクライナ側の強い抵抗を受け、その野望は挫折。ウクライナ側は欧米諸国からの武器供与を受け、ロシア軍に激しく攻撃をかけ、戦いは長期化する気配が濃厚となってきた。プーチン大統領は自身の政治生命をかけ、ウクライナ戦争の勝利のために腐心する一方、ウクライナのゼレンスキー大統領はクリミア半島を含み、ロシア軍の全面的撤退を要求しているため、現時点では和平交渉の見通しはない。

「祖国防衛の日」に無名戦士の墓に花輪をささげるプーチン大統領(2023年2月23日、クレムリン公式サイトから)

「祖国防衛の日」に無名戦士の墓に花輪をささげるプーチン大統領(2023年2月23日、クレムリン公式サイトから)

一方、中国はロシアのウクライナ侵攻1年目を迎えるにあたり、ロシアとウクライナ両国に対し、12項目からなる和平案を提示し、停戦に向け調停役を買って出てきた。中国外務省は24日、ウェブサイトで12項目の和平案を掲載し、両国に紛争の「政治的解決」を求めている。

「ウクライナ危機への政治的解決のための中国の立場」とタイトルされた和平案では、両国にできるだけ早い時期に直接対話の再開を要求し、「紛争当事者は国際人権を厳守し、民間人や民間施設への攻撃を回避しなければならない」と求めると共に、「核兵器の使用は絶対にあってはならない」と要求している。以下、中国の12項目からなるウクライナ和平案を紹介する。

1) 国家の主権を尊重:一般に認められている国際法と国連憲章は「厳密に」遵守されなければならない。 2) 冷戦の考え方を放棄、自国の安全のために他国を犠牲にしてはならない。 3) 敵対行為をやめる:全ての当事者は「合理性を保ち、自制を保ち」、紛争を煽ってはならない。 4) 和平交渉の再開:対話と交渉がウクライナ危機に対する唯一の実行可能な解決策だ。 5) 人道危機の解決:人道危機の緩和に貢献する全ての行動は「奨励され、支援されなければならない」 6) 民間人と戦争捕虜の保護:全ての紛争当事者は、国際法を遵守し、民間人や民間インフラへの攻撃を回避する必要がある。 7) 原子力発電所の安全確保:原子力発電所への武力攻撃を拒否する。 8) 戦略的リスクの軽減:核兵器は使用されるべきではなく、核戦争は行われるべきではない。 9) 穀物輸出の促進:全ての当事者は黒海穀物協定を実施する必要がある。 10) 一方的な制裁を止める:一方的な制裁と圧力は問題を解決できず、新しい問題を生み出すだけだ。 11) サプライチェーンの安定化:全ての関係者は、既存の世界貿易システムを維持し、世界経済を政治目的の武器に使用してはならない。 12) 復興計画:国際社会は、影響を受けた地域で紛争後の復興を実施するための措置を講じるべきだ。