第八波が終息しつつあり、インフルエンザも騒がれたほど流行せず幸いだった。ただコロナ診療している医療機関と職員の負担、疲弊は甚だしい。対応能力を超えやむなく診療を断ればネット口コミに悪し様に書かれる。重症度も感染力も高い「超新型」が発生したら、「最前線」の外来診療はパンクしかねない、というのが実感である。
この問題の根底には、
風邪のウイルスの一種(風邪の最大35%程度と言われる)のコロナウイルス感染症を、新型といえど3年間もコレラ、ペスト以上の伝染病扱いにしていたことは適切だったのか インフルエンザ同様の5類扱いなら簡単なマスク手袋、病院では個室隔離、程度でどの医療機関でも対応可能だったのに、フル装備のPPEを(ソンタクで)求め対応困難にした 人類史上経験の無い短期間に莫大な人数にワクチン接種するため医療リソースを浪費した 本来医師と医療機関には応召義務があるのに、定期通院患者を診療拒否することを看過した という主に政策施策的問題と、 高度な専門的治療が必要無いのに大病院にかかろうとしたり、いくつもの病院を受診する病院・ドクターショッピングにより責任をもって診療してくれる医師を持っていない患者。フリーアクセスの弊害 コロナ診療を公費無料にしたため無症状や軽微な症状でも「コンビニ受診」する という患者側のマインド
を政策施策が助長し一部専門家がメディアで煽り立てたことが問題である。
筆者はコロナワクチン接種開始当初の混乱について、定期通院者はかかりつけ医(療機関)での接種を第一にすべき「やってる感」場当たりポピュリズム政治施策が招いた新型コロナワクチン接種の問題と提言したが、発熱や風邪症状もかかりつけ医の対応を第一義にしていれば、現在の混乱には至らなかったはずである。
その点で「かかりつけ医制度」が議論されている今、定期通院者の診療の「責任者」を定める制度化は今後重要と考える。
また定期通院していない者のために、地域の基幹病院は感染症診療対応を義務付け予算設定し施設整備と教育を為すべきだ。小規模な診療所に無理に診療させるより、規模の大きい病院を隔離対応可能に整備するほうが合理的だ。
何より政策施策が科学的検証に基づき迅速で合理的である必要がある。コロナ上陸後すぐ4月には、世界的医学誌ランセットにコロナウイルスが血管内皮細胞を障害するという論文が掲載され、この時点で高齢者にはハイリスクだが健康人には風邪程度と予測可能だった。我が国には国立感染症研究所という立派な研究機関があるのに、予算削減で情報発信すら不十分だ。新興感染症へのBCP、初動体制を感染症専門機関中心に明確化し予算配分すべきだ。
古来より我が国は何度も神風に加護されてきた、今回も間一髪の感であるが、次もそうとは限らない。必死で発熱風邪症状対応している医療機関が報われず口コミで悪し様に言われては、かつての大野病院事件による産科医療崩壊の二の舞すら起こりかねない。
第八波去って良かったマスク外そう、ではなく、今こそ使い捨て医療を改め、フリーアクセス見直しやかかりつけ医制度そして感染症対策体制整備など、今後の備えを考えるべきだ。
【参考】
死亡増加が医療崩壊の始まり 年明け発熱外来電話鳴りやまず(福岡放送) ※記事は削除されています Withコロナの新たな段階への移行に向けた見直しについて(令和4年9月26日~)(厚労省) 軽症者等の療養に関する対象者等の基本的考え方について (厚労省) With コロナに向けた政策の考え方 (厚労省) 発熱外来数の人口比、3.8倍の格差 1位鳥取県、47位千葉県:朝日新聞デジタル 高齢者の重症化原因? 新型コロナは全身の血管に感染することが判明 ※ランセットへの原典リンクあり 国立感染症研究所 コロナ関連ページ