韓国人の国外脱出組が加速する可能性は地政学的問題だけではありません。高齢者ばかりの国家を若者が支えるのは無理なので将来ある若者は国内に留まり高齢者を支えるより海外で活躍した方がよいと親が勧めることもあるでしょう。あるいは親が子を海外移住させ、自分たちも海外で養ってもらうという考え方もあり得ます。
韓国社会は閉塞感が強く、ソウル大学と財閥系企業への勤務の道が叶わないなら海外で起業するか、プロフェッショナルなスキルを身に着けさせるのは伝統的ともいえます。韓国がいくら経済成長をしているとか、一人当たりのGDPで日本と競り合っているとしても、分母の人口が少なければ一人当たりのGDPが多くなるのは当たり前でそれが健全な社会を形成しているとは思えないのです。
では人口が突如増える可能性は無いのでしょうか?なくはないです。最も可能性があるのが北朝鮮と一緒になり、統一されること。これで統一朝鮮の人口は7500万人になります。ですが、仮に統一が起きるとすれば韓国人の海外逃避傾向はさらに強まるとみています。つまり、高齢者の面倒を見るだけではなく、北朝鮮出身者の面倒まで見られないという逃避です。
もう一つの可能性はあまり考えたくないですが、朝鮮半島で戦争が起きた場合です。種の保存の原則に立てば「有事の子だくさん」は起こり得ます。ただ、現代社会でもそれが通用するか、これは分かりません。
例えばウクライナの場合はまだ戦争から1年なので気がついていないと思いますが、同国は今、男性は国外に出られない為、家族と別れて暮らしていることも多く、出生者数はこれから少なくとも1-2年の間、衝撃的な減少になるとみています。22年1-11月の出生者数は前年比24%減程度に収まっていますが、23年度は前年比5-7割減になってもおかしくないとみています。但し、戦後についていえば、祖国再建のため「産めよ増やせよ」となれば「有事の子だくさん」になるかもしれなし、そうならなければ戦後に本当の意味での国家存亡の危機が訪れることになります。この想定は厳しく、判断できません。
韓国の問題は民族主義を貫き過ぎた点だとみています。韓国人を朝鮮民族(韓民族)とするようですが、この朝鮮民族は何者か、といえばこれが歴史的には相当の混血であります。いずれにせよ、その民族と国家を同一枠と考える傾向があるのが韓国と日本とされます。ところが同一民族の純血主義を貫くとどうしても人口問題に突き当たるのです。
問題解決には混血を受け入れるしかないと思いますが、今更混血を広く受け入れるとは思えません。日本も当然ながら同様です。
この辺りが韓国の最大のそして乗り越えられない問題なのだろうと察しております。もちろん、日本も基本的にはこれを追っていると考えてよいのでしょう。韓国の例は極端でありますが、我々の抱える問題を考えるきっかけにはなりそうです。
では今日はこのぐらいで 。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年2月24日の記事より転載させていただきました。