本来、販売者と顧客は対等の立場
日本は中小企業の国家であり、約300万社ある会社の99.7%は中小零細企業である。供給者数が多いため、パワーバランス的にも顧客が強くなる傾向があるのだろう。
しかし、今後はこの状況は変わってくる。特に労働集約的な宿泊施設などのビジネスにおいては、現時点で人手不足が深刻化しているし今後もそれは続く。そうなれば、ゴネる顧客を相手にする余裕はなくなり、「代わりはいるんだぞ」という利用客の恫喝はもはや効果を持たなくなる。もちろん、少子高齢化で利用者数も減っていくが、外国人顧客の割合が増えればこのパワーバランスの転換が起きる可能性は否定できない。「利用してやっている」「こっちは客だぞ」という感覚は変えていくべきだ。
これはあくまで個人的な意見だが、ビジネスは本来販売者と顧客は対等の立場だと思っている。だから自分はお金を払う側でも「使わせていただいている」という気持ちを持っているし、お金をもらう時にも「使っていただいている」という気持ちを持っている。
初めてアメリカにいった時、どのお店でもお客さん側が「Thank you」といっているのが印象的だった。こっちでは利用者側が積極的にありがとうを言うのだと。販売者と利用者の経済的パワーバランス云々はさておき、お互いに「ありがとう」と言い合える気持ちがあってもいいのではないだろうか。販売者は利益を得られるし、お客さんは商品サービスを得られる。自分はスーパーでもレストランでも意識的にありがとうを言うように気をつけている。
◇
ゴネ得社会は明らかにおかしい。クレーマーだって、店舗やサービスがなくなったら困るはずだ。感謝を忘れて「やってもらって当たり前」になった時、人として大事なものを失うのではないだろうか。
■最新刊絶賛発売中!
■Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka
■YouTube動画で英語学習ノウハウを配信中!