ロシア軍がウクライナに侵攻して今月24日で1年目を迎えるが、プーチン大統領は侵攻1年目を前に軍事的成果を上げるために再度、ウクライナ東部・南部で大攻勢をかけるのではないかと予測されている。一方、ドイツのミュンヘンで17日から3日間の日程で開催された第59回「ミュンヘン安全保障会議」(MSC)では欧米諸国を中心に200人以上の政府首脳、閣僚、有識者らが集まり、ウクライナ戦争の対応について話し合われた。今年もMSC会議にはロシア代表は招待されなかった。

G7外相会議(中央は議長国・日本の林芳正外相)2023年2月18日、ミュンヘンで、日本外務省公式サイトから
ミュンヘン会議の共通トーンは、ロシアの軍事活動への批判とウクライナへの軍事支援の強化を求める声だ。ウクライナのゼレンスキー大統領はビデオで参加し、欧米諸国に武器の供与を改めて要請している。ミュンヘンでは同時期、主要先進7カ国首脳会議(G7)の外相会議が開催され、ロシアのウクライナ戦争を批判、「ウクライナからすべての軍隊と装備を即時かつ無条件に撤収し、国際的に認められた国境内での独立、主権、領土保全を尊重するように」と求める一方、ロシアの不法な戦争を軍事的、物質的に支援したり、対ロシア制裁に違反する国、団体に対して制裁を実施すると警告を明記した声明文が発表された。
なお、G7外相会議議長国の日本の林芳正外相は、クレムリンの核の脅威に対して、「ロシアの無責任な核レトリックは容認できず、化学兵器、生物兵器、核兵器、または類似の兵器の使用は深刻な結果をもたらすだろう」と警告を発した。
MSC関連の首脳陣たちの発言は多くは既に報道されているので、メディアでは余り取り上げられなかったハンガリーのオルバン首相の演説を今回紹介する。
ハンガリーの首都ブタペストでオルバン首相は18日「国家の現状について」の演説を行い、「2023年はわが国にとって政変以来、最も危険な年となる」と、国民に向かって警告を発している。具体的には、ロシアのウクライナ戦争、欧州連合(EU)の制裁、エネルギー危機などの課題に直面していることだ。
オルバン首相は、EUの本部ブリュッセルからは「民主主義と法の遵守」を求められ、「言論の自由に反する」として制裁を科せられているが、欧州首脳の中でロシアのプーチン大統領と依然、友好関係を有し、外交辞令を無視して単刀直入に発言する政治家として有名だ。
ハンガリーでは昨年4月3日、ウクライナ戦争の最中、国民議会選挙が実施されたが、オルバン首相の与党「フィデス・ハンガリー市民連盟」は議席の3分の2を獲得し、国民の支持を得、オルバン首相は4選を果たした。オルバン首相は国内のメディアを完全に掌握し、対外政策では親ロ、親中路線を走る一方、EUからは「異端児」と呼ばれてきた。