ロシアによるウクライナ侵攻からほぼ1年が経過しました。これほど長くなるとは全く想像出来ませんでした。それはプーチン大統領も同じ気持ちでしょう。「なぜ、ウクライナを攻略できないのだ」と。指導者の意気込みと軍部、兵士の立ち位置は大きく違うことがあります。が、それ以上に大戦レベルの戦いが77年も起きていない中での陸軍主体による侵攻という戦略に無理があった気がします。

世界の指導者たち 各紙・各政党HPより
江戸時代末期、幕府を倒せという声が日増しに強くなる中、幕府軍と討幕派は鉄砲や刀を手に取りますが、260年近く戦い方を忘れていた双方の武士はずいぶん苦労したというのが実態でした。あの長州藩が全滅になりそうになるという波乱があったのもその好例でしょう。戦略家もいなければ戦う側のレベルもすっかり技量が落ちていたということです。豊臣秀吉のような機敏さや取り巻きの知恵袋たち、小大名の奮闘ぶりなど戦国時代のような緊張感と戦う準備が幕末には幕府も討幕派にも伴わなかったのです。
それと同じなのがロシアの戦い方であり、ウクライナ側もどっこいどっこいであります。語弊はあるかもしれませんが、今、世界で戦争をさせた時、一番強いのはイスラエルやパレスチナのような常時戦闘モードに入っているところだけではないかと考えています。案外、一番弱いのがアメリカと中国のような気がします。
アメリカはそもそも本土を外部に攻撃されたことが歴史的になく、戦争の本当の怖さを知らない人が大半です。敢えて言うなら911ぐらいだと思います。その中で朝鮮戦争やベトナム戦争でどれだけ成果が上がったかと言えば私はアメリカ兵の疲弊だけが残った、そしてPTSD(心的外傷後ストレス障害)を抱えた人が多数出た、というのが認識です。その上、ベトナム戦争当時、国内では反戦活動が大学を中心に吹き荒れ、デモが繰り返され、世論も戦争への賛同を示しませんでした。
今、アメリカは最新鋭兵器を次々開発していますが、これは攻撃側の人的被害を最小限に食い止め最大限の成果を得るためもありますが、私には金儲けにしか見えないのです。アメリカで政治的コミットメントと国民の意識は必ずしも一致しない点は将来の起こるかもしれない不和に関して考慮すべき点だと思います。「アメリカは本当に戦うのか」と「アメリカは本当に頼れるのか」です。