コロナ禍でのオンライン授業移行にも貢献
——新型コロナ感染拡大防止のために、2020年3月2日から全国一斉での休校要請が出されました。192Cafeの設立はコロナ流行前ですが、コロナ禍で実感できた影響などはありましたか?
吉金先生:休校要請の初日から2つの私立小がオンライン授業への移行を開始しました。これは、当時は驚くべきことであり、まさに私学ならではの取り組みだったと言えます。
その事実とノウハウを192Cafeのネットワークを通じて発信し、コミュニティに参加している私立小の多くがオンライン授業への移行をスタートしました。おかげでスムーズにオンライン授業に切り替えられた学校も多かったようです。
——192Cafeのネットワークが形成されていたからこそ、オンライン授業のノウハウもすぐに共有できたのですね。
吉金先生:そうですね。192Cafeがなかったら、最初の2校のみが独自にオンライン授業を行っていて、他の私立校にはすぐには浸透しなかったかもしれません。
その後、何度かオンライン授業に関するセミナーをWEB上で行ったのですが、私立小だけでなく、公立小の先生方もたくさん参加していました。
コロナ禍で教育現場はかなり混乱しましたが、オンライン授業の有効的な活用法を広めて日本の教育に貢献できたのは大きなことだったと自負しています。
教師の勘と経験にテクノロジーをプラス
——最後に吉金先生が今後目指すところや、理想の教育論などを伺いたいと思います。
吉金先生:理科の実践家として、本校2代目校長の栗山重先生の教えである「教えてはいけない、学ばせてもいけない、学びを支援することが教育だ」という言葉へ挑み続けていきたいと思っています。
——宝仙学園小学校では、Monoxerも活用いただいていますが、ICT教育を重視しているのでしょうか?
吉金先生:教員が出来ないこと、ICTに任せた方が良いものは積極的に活用したほうが良いと考えています。子どもたちが自分にとって合うツールを選べるような環境にしてあげるのが良いと感じています。
授業で利用するICTは教師が選んで採択するのですが、私は汎用性が高く、なるべく長く使えるものを重視しています。
学習においては、Monoxerは良いツールだと感じています。授業をベースにする前提で、知識の定着と広がりをMonoxerに任せることができます。
紙のようなアナログだと、知識の徹底のために、画一的なプリントの繰り返しを行うことになります。これは既に習得できている児童には退屈で非効率なものであり、習得が進まない児童には苦痛で自己肯定感が落ちる要因になることもあります。
たとえば、「10回書けば、漢字や単語を覚えられる」というのは、教師の勘と経験からですよね。児童が自分で選んでいるわけではなく、教師から与えられている覚え方です。
しかし、Monoxerを活用すると個人の記憶定着度に合わせて、難易度を調節して問題を出し続けてくれます。これによって、子どもの負担を最小限に減らした形で記憶定着に取り組んでもらえます。
だから、教師の勘と経験に、テクノロジーをプラスすることが良い教育につながると考えています。実際、勉強が苦手な子ほど助かっていますよ。
——吉金先生は今後どのような教育に取り組みたいと思っているのでしょうか?
吉金先生:日本教育における私立小学校の存在感を高めていきたいという思いもありますが、やはり一番は宝仙学園小学校に恩返しをすることですね。
目の前の仕事をひとつひとつ積み重ねて、お世話になった宝仙学園小学校に還元していけたらなと思っています。その上で、今後も私立小学校、宝仙学園小学校だからこそできる教育を模索し続けたいと思います。
<インタビュイープロフィール>
吉金佳能
宝仙学園小学校
教諭宝仙学園小学校教諭。同校の理科専科、ICT教育研究部主任。現在は、東京私立初等学校協会理科研究部主任も務める。東京地区有数のICT先進校の同校で、ICT教育研究を牽引。著書『小学校理科 探究的な学びのつくり方』、『ICTで変わる理科授業 はじめの一歩』(ともに明治図書)他。
<著者プロフィール>
中村大志
モノグサ株式会社
広報2013年新卒で株式会社マイナビ入社。求人広告の営業に従事した後、2015年より食品・ヘルスケア専門のPRエージェンシーに入社して食品やサプリメント等の商材のPR業務に従事。2020年にモノグサ株式会社へ1人目の広報担当として入社後、自社と提供しているプロダクト「Monoxer」の認知向上と支持者の増加に向けて、PR活動を担当している。